◆金融緩和拡大は正しいが・・・・・・
今週は、選挙の結果と今後の政治の見通しについてそれぞれ簡単に述べてみたい。
まず、安倍政権が26日に発足することが決まった。補正と来年度予算の編成作業を止めて無理やり行った総選挙だったので、新政権の最初の課題は、当然のことながら、補正予算と2013年度予算の編成だ。
来年の参議院選挙に向けて、安倍自民党の最大の課題は、いかにして、今回の衆議院選挙大勝の構造を継続するかである。そのため、当面は、新たな難しい問題を争点化することなく、とにかく景気だけ良くして、あとは不変という構造で参議院選に望む作戦を取るだろう。
そのために、なりふり構わず、日銀に強硬にさらなる金融緩和を求めて円安株高を演出し、さらに、実体経済にはカンフル剤として、「国土強靭化」の名の下に公共事業を全国津々浦々にばら撒いていくと思われる。
おそらく、その他にも、しっかりと自民党の支持団体の既得権保護拡大のための予算をつけて、今回の既得権グループの票に守られた選挙の構造をさらに強化する。これらは誰が見ても明らかな戦略だ。・・・・・・(以下略)
◆難しいことは後回し
安倍政権誕生で、政策は大きく変わるのか。答えは、NOだ。公共事業ばら撒きと金融緩和は大きな変化だが、おそらくそれ以外はあまり目立ったことはしないだろう。
憲法改正は、参議院で大勝しない限りできないから、そんなに焦っても意味がない。原発も当面はおとなしくして規制委員会に委ね、とにかく争点化を避ける。TPPだけは相手があるので難しいが、オバマ大統領に、絶対に参加するから参議院選後まで待ってくれと言うか(その場合は、何か他のお土産を持っていくかもしれない)、農協などに、絶対に悪いようにはしないと約束して、さらに補正や来年度予算で大盤振る舞いをすることで、交渉参加だけはさせてくれと言うか、どちらかだろう。あるいは、霞が関文学で、国内と対米で使い分ける悪知恵を出せと官僚に頼んでいる可能性もある。
上述のアベノミクスの効果で何となく世の中が安堵している状況を作って、他の問題は全て争点化せずに、夏の参議院選挙に臨んだ場合、国民は騙されるのだろうか。・・・・・・(以下略)
日本維新の会の議席が54議席となった。この結果に対する評価はまちまちだ。
しかし、石原氏と組んで太陽の党と合流したことで多くの有権者が投票を躊躇したというのは確実だろう。そのことは多くのマスコミが指摘している。
それ以外の論点としては、公明党との選挙協力が極めて大きな痛手になったことを挙げなければならない。大阪市議会で過半数を取っていない維新の会が、公明党と組んで大阪都構想を実現するためにやむをえない選択だというが、それは全国の有権者には説得力がない。大阪のために国政をゆがめていいのかという批判にどう答えるのか。大阪のためにこれからも公明党に対して遠慮して国政でおかしな行動をとるということなのか。・・・・・・