大反響!日本の大金持ちが語る「他人には言えない大金持ちの相続」

週刊現代 プロフィール

 成瀬家は犬山城周辺の森林、田畑などの土地を数多く所有し、東京にもいくつかの不動産を持っていたが、相続で消えていくばかりだったという。

「いまでは資産といっても犬山の私の自宅、あとは少しの農地くらいしか残っていません。もう売るものもなにもありません」

 

最後の手段は財団設立

 おのずと淳子さんが父の相続の準備に入る頃には、次の相続税を払うには城か文化財を手放すしかない状況に追い込まれた。

 淳子さんはついに城の個人所有をあきらめて、財団法人を設立、所有を移管することで相続税の支払いから解放される道を選ばざるをえなかった。

「国税からは『新たに発見された所蔵物にも相続税がかかる』とも言われ、相続税が払えない可能性が出てきたのです。しかし、物納すれば代々守り継いできた文物が散逸する。それだけは避けなくてはならないと思い、寂しくはありますが、財団に移管するしかありませんでした」

 いま日本で100人が死亡した場合、課税対象になるのはたったの4人---相続税はよほどの資産家でない限り課税されない〝金持ち税〟だ。

 一方で相続税は最高税率が50%と非常に高いため、なにも対策をしなければ3代で財産がなくなるといわれる〝重税〟である。

 藤原俊成、定家の流れをくみ、その古文書類を守り伝えてきた京都・冷泉家も、そんな相続税に頭を悩まされてきた。

 第25代当主の冷泉為人氏が言う。

「冷泉家は定家の『明月記』など国宝5件、重要文化財47件をはじめ数万点の典籍類を私蔵し、守り通してきました。しかし第二次大戦後の新税制が始まると、相続税が重くのしかかり、財産を維持するのに大変な苦労をすることになりました。

 特に公家屋敷として唯一現存する冷泉家住宅(重要文化財指定)は、京都の中心地に750坪もあるので、とてつもない高額の課税対象になります。相続税だけでなく固定資産税もばかにならないため、屏風など家のものを売ってしのいできました。先代の24代当主・為任は銀行員でしたが、『収入のほとんどが文化財の維持管理費と税金の支払いでなくなってしまう』と悩んでいたほどですから」

 ただ、そんな〝自転車操業〟は長続きしなかった。あるとき、24代当主・為任氏が相続税はいくらかかるか試算したところ、「数十億円」にのぼるとわかったからだ。