東大教授が匿名で明かすホンネ
ピンは変わらない、キリは劣化

「東大までの人」と「東大からの人」第2弾 vol.3
週刊現代 プロフィール

「実は文系理系を問わず、いつも教室にあいさつもなく入ってきて、何十年も同じ内容の板書をし、黒板に話しかけているかのような授業を続ける教授、自分でも挑戦的な研究などしたことがないものだから、どう学生を指導していいか分からない教授など、どうしようもない"タコツボ教授"でいっぱいなんです。一度なってしまえばずっと居座れるので、教授にとって東大は天国なのです」

 明らかに勉強不足の教授も少なくないという。文科省の発表によれば、'07年の教授の研究時間は'01年のそれに比べて20%近くも減少している。おまけに、優秀な教員が必ずしも出世しないのだという。

「研究者としてエラくなりたければ、教授より能力があるところをみせてはいけない。そんなことが冗談半分で言われるくらい、実力のある研究者が出世できていないのです。そのせいで、かつては一世を風靡した工学部のあるメジャーな学科の質がすっかり低下して、近年には定員割れしてしまいました」

 東大の教員の能力のどこが一番問題なのか。前出の宮田教授はこういう。

「学生を育てる能力が教員にないことです。うちの研究室から社会に出て活躍しているOBの中には、学科の成績が最下位に近かった学生もいます。ただし研究者であっても勤め人であっても、成績よりも人間力の優れた学生のほうが大成しますね。うちの卒業生で、近いうちに大手バイクメーカーの社長になる予定の子がいますが、彼もそんな人間力のある学生でした」

 たしかに大学とは、成績が良かろうが悪かろうが、そもそも人材を育てる機関のはずだ。

「アポロ計画を実行し、初めて人類を月まで送ったのは、平均年齢26歳のチームでした。管理職は一人、40代のリーダーがいただけです。こういった人間を育てていかねばなりません。

 これから大切なのは、リーダーの育成です。『日本の人材は、労働者や一般人など末端は真面目で世界一優秀だが、逆にトップの出来が最悪』というのが世界の定説。優秀な若者をどうリーダーに育てていくか。これが東大が果たすべき課題でしょう」(前出・宮田教授)

 東大生の質の低下は、学生だけの責任ではないようだ。よく考えれば、教授も学生も一蓮托生。なんのために大学はあるのかという本来の目的を、今一度みんなでよく考えたほうがいいのかもしれない。

以降 「東大までの人」と「東大からの人」第2弾 vol.4 へ。