長谷川幸洋『メディアと政府の関係を変える 「オープンガバメント」という世界潮流』

〔PHOTO〕gettyimages

スクープのもとになった「各目明細書」

 本連載の第3回まで『週刊ポスト』の福場ひとみ記者が復興予算流用問題をスクープした経緯を紹介した。福場はインターネットに公開されていた資料を徹底的に読み込んだうえで、国会議員や役所を独自に取材し予算流用の実態を暴露した。

 記者クラブに毎日出勤して、役所を取材している新聞やテレビのようなメディアの記者がそれまで流用問題を報じなかった一方、福場のような記者クラブにも所属せず、日常的に役所を取材しているわけでもないフリーランスの記者がスクープを放つのは、どうして可能になったのか。

 今回から数回に分けて、その理由と背景を徹底的に考えてみたい。そこに日本の大手メディアの病根が潜んでいると思うからだ。

 福場のような取材手法が可能になるには、そもそもインターネット上に役所の資料が公開されていることが大前提になる。福場が最初に突き止めたのは「各目明細書」という文書だった。正確には「東日本大震災復興特別会計歳入歳出予定額各目明細書」である。そこを突破口にして、具体的な支出内容を取材で詰めていった。

 各目明細書の公表が決まったのは、連載第1回で触れたように「予算編成等の在り方の改革について」という閣議決定(09年10月23日)で、政府が予算編成プロセスの透明化を図る改革に着手したからだ。

 この閣議決定文書を読むと「各府省はホームページにおいて所管する予算の概算要求書及び政策評価書を公開するほか、概算要求の概要を分かりやすく示すこととする」とか「財務省及び各府省は予算概算決定後、ホームページ等において決定した予算の概要をできる限り国民全般に分かりやすい形で公表する」などと記されている。

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