誰に向けたビジネスか?
誰のためのゴルフツアーか?
~日本のゴルフ界が
パナソニックに学ぶべきこと~

文/舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)
B to What?
業績不振に喘ぐパナソニックが、石川遼との所属契約を更新せず解消するというニュースが日本のゴルフ界を駆け巡ったのは、その対象が他でもない石川だったからだ。
もしも他選手の契約スポンサーの話だったら、報道もされなかっただろうし、ゴルフ関係者が気にかけることもなかったはずだ。
だが今回は、日本のゴルフ界のスターである石川が所属先を失うわけだから大ニュース。
さらには、パナソニックオープンが来年限りで消滅するということで、スポーツ紙のみならず全国紙が大きく扱う報道ぶりとなった。
ゴルフ関係者は、このニュースをさぞかし驚いて聞いたのだろう。
が、ビジネスの世界から見れば、パナソニックがゴルフやバスケットボール、バドミントンといったスポーツへの支援から手を引いたこのタイミングは、むしろ遅すぎると感じられたに違いない。
電機業界の最大手だったパナソニックを傾かせたものは"B to C"の呪縛だ。
Business to Customer
Business to Consumer
パナソニックには、いいものさえ作っていれば消費者は自分たちの製品を選んでくれるという技術信奉があった。
いつまでも街の「パナソニックのお店」が繁盛するものだと思い込んでいた。
しかし、技術競争はいつしか頭打ちとなり、中国などアジア諸国との価格競争に負け、国際競争の流れの中で傾いていった。
東芝や日立といった同業他社はエンドユーザー向けの"B to C"から法人向けの"B to B"(Business to Business)へ、いち早く方向転換。
視線の向け方と発想の転換の仕方が、かつての御三家と呼ばれたパナソニックと他2社との明暗を分けつつある。