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「資産を増やすより減らさない老後」のつくり方【第3回】

平山賢一(東京海上アセットマネジメント投信チーフストラテジスト)

 そのように考えると、「最も不確実性の低い老後をつくる」ということは、手元にある資金が、生活のために必要なモノやサービスの価格の変化に連動するようにしておくことに他なりません。つまり、生活する上での物価の変化を代表する消費者物価指数(CPI)に連動するような資産運用が、将来の生活にとって、リスクの低い資産運用ということになるはずです。

 資産が物価に連動するならば、インフレになれば、それに連動して名目資産額が増えるものの、デフレになれば、それに連動して名目資産額は減ります。しかし、この場合、モノを買うチカラ、サービスを得るチカラは、今も将来も一定です。このことを「実質資産額は一定」と言い換えてもよいでしょう。

 目に見える名目額ばかりを気にするのではなく、その奥にある本質を見ていかなければ老後のリスクを高めてしまうため、このことは非常に大切なポイントです。老後の大切な資金ですから、「実質資産額が減らないこと」を最優先し、守りを固めてこそ、次のステップに移行できるはずです。

 具体的には、物価連動国債などへの投資が、〈買うチカラ〉を減らさない老後をつくる近道です。ただし、この方法にも注意点が何点かあるため、詳しくは『「増やすより減らさない」老後のつくり方』を読んでいただきたいと思います。

 結びに、サン=テグジュペリの『星の王子さま』にある有名な言葉を引用して、減らさない老後を読み解いてみましょう。

 「じゃ秘密を言うよ、簡単なことなんだ。ものは心で見る。肝心なことは目では見えない」

 「心で見る」とは、「買うチカラで見る」ということ。

 「目では見えない」とは、「資産額の名目額の増減で計ることはできない」ということ。
 このことが、資産を減らさない老後をつくるための秘密であり、鉄則になるのです。

 そうです、大切なことは簡単なことなのです。

〈了〉

平山賢一 (ひらやま・けんいち)
国際公認投資アナリスト。東京海上アセットマネジメント投信株式会社運用本部チーフストラテジスト。1966年、神奈川県生まれ。89年、横浜市立大学商学部卒業、大和證券投資信託委託入社。94年、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科修了。公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。97年、東京海上火災保険入社。財団法人年金総合研究センター客員研究員、経済産業省産業構造審議会臨時委員、「クラブ・インベストライフ」月刊会報誌編集委員、東京工業品取引所商品指数運営特別委員会委員などを歴任。著書に『2013年、インフレ到来 プロが明かす資産防衛5つのポイント』、『振り子の金融史観 金融史と資産運用』、『ハートで感じる長期投資の始め方』などがある。

著者:平山賢一
「増やすより減らさない」老後のつくり方
(講談社+α新書、税込み880円)

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