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「資産を増やすより減らさない老後」のつくり方【第3回】

平山賢一(東京海上アセットマネジメント投信チーフストラテジスト)

 気を取り直して、2011年末にビッグマックの値段がいくらになっていたかを確認してみると、おおむね1個4.0ドルに値上がりしていました。株価指数よりもビックマックの方が値上がりしていたのです。2.5ドルが4.0ドルまで上昇しているのですから、実に60%の値上がりです。

 1999年末には、100ドルでビッグマックを40個買うことができたものの、株式に投資した結果、107ドルまで増えた資金では、ビックマックは26個しか買うことはできなくなっています(107ドル÷4.0ドル≒26個)。14個も買える量が減ってしまったのです。

 再認識すべきなのは、「10年超にわたる株式の保有も、インフレに負けてしまった」という事実なのです。株式投資の成果はプラスであっても、それ以上にインフレ(物価上昇)が進んだため、株式投資による〈買うチカラ〉は減ってしまいました。モノを買うパワーが35%もダウンしてしまったという事例です(14個÷40個=35パーセント)。

 資産運用は、インフレとの勝負になる。そのことを説明したかったための事例紹介でした。

インフレに強い企業、インフレに強いゴールド

 そのとき、わたしの話を横で聞いていたもう一人の講師が一言。

 「その12年間で、マクドナルド社の株式に投資していたら、どうなっていたのだろう?」

 なかなか、いい質問です。わたしはそこまで調べていなかったので、セミナーの最中、スマートフォンでチェックしてみました。

 その結果は、びっくりするものでした。米国に上場しているマクドナルド社の株価は、なんと12年間で149%も上昇し、100ドルが249ドルになっていたのです。さらに配当も含めれば322ドル、年率に換算すると、1年あたり10%強のリターン。

 ビックマックは80個も買え、2倍の個数になります (322ドル÷4.0ドル=約80個)。〈買うチカラ〉は、倍増したことになります。

 60%値上げしても、多くの消費者がその値上げを受け入れているという強力なブランドの力が、株価指数を大きく上回るリターンの源泉となっていたのでしょう。

 「株式に投資する際には企業選択が大切という事例ですね」

 と、もう一人の講師の方も興味深げに肯いています。