常勝・日ハムを作った男高田繁インタビュー
強い組織をつくるのは難しいそれを維持するのはもっと難しい

週刊現代 プロフィール

 選手にとっては絶対的上司である監督も、高田氏から見れば中間管理職にあたる。現場の若手選手には将来のために「結果を気にするな」という一方で、中畑監督にはすぐ結果を出すよう求めた。それはDeNAという組織が置かれている状況を誰よりも理解しているからである。

 若手のホープだった吉村裕基を出して、実績のあるベテラン・多村仁志を獲得したのは苦肉の策だった。

「5年先、10年先を見据えて選手を獲得・育成するのがチームづくりの基本です。その手はすでに打っている。しかし、今のベイスターズには時間がない。早急に結果を出す必要がある。少なくともクライマックスシリーズに出られるような、勝てるチームにしないと、中畑を守れないのです。人がいい。人に好かれる。そんな人物が監督として成功した例はあまりない。私は中畑のような好人物に常勝軍団を率いてもらい、長く監督としてプロ野球に貢献してほしいのです。

 実は今季、チームが空中分解する危機がありました。あれだけ負けが込むと、チーム内に不満は出るし、造反者も出てくるのです。それを中畑が救ってくれた。監督を引き摺り下ろすような動きが起きなかったのは、彼の人柄ですよ。あの明るさと、チームを強くしたいという情熱があったからこそ、チームが持った。選手が何とかついてきた。昔は相撲と野球しかなかったですが、いまは多種多様なスポーツが注目を浴びている。それなのに中畑は何度、スポーツ紙の一面を飾りました?どれだけテレビに出ました?広告効果に換算したら大変な額ですよ」

 高田氏は「あの戦力では誰が監督をやっても結果は同じだったでしょう」と言ったその同じ口で、「結果を出さないと中畑を守れない」と語った。

 中畑の人間性がチーム崩壊を救ったことを指摘するのも忘れない。結果が出なければ組織は崩壊する。しかし、結果さえ残れば、誰もが組織のために働くというわけでもない。

カネは結果を出してから

 いま、球団は高田氏を全面的に信頼しているようだ。「思いもよらない補強費」(高田氏)が捻出されたというのがその証左だ。

「大リーガーや日本人メジャーリーガーら、投打の軸になり得る選手の獲得に使わせていただきます。ただこれはあくまで応急処置的な補強。マネーゲームを避ける方針は変えません。FA選手の獲得に何十億円もかかるのはおかしい。過大評価されている選手が何人いたことか。

 マネーゲームに参加せず、健全経営で正当に評価すること。そうすれば勘違いする選手が減り、チーム内から噴出する不満も抑えることができる。ちなみにDeNAの監督とコーチは契約金ゼロで入団しています。新しく入団するルーキーならともかく、監督やコーチが球団を替わるたびに契約金をもらうのはおかしい。力のある監督、コーチなら契約金なんて要りません。結果を出して報酬を貰うべきです」

 高田氏が獲得に心血を注ぐ中日の四番・ブランコ、同じくドラゴンズの先発左腕・ソト、セットアッパー・ソーサの総獲り、元ホワイトソックスの福留孝介の獲得に成功すれば、来季のベイスターズは強い組織へと変貌するだろう。