# 「息子と僕のアスペルガー物語」 # ライフ

奥村隆「息子と僕のアスペルガー物語」【第8回】
息子を大爆発させた妻の一言

奥村 隆 プロフィール

 このとき、息子の中では「土曜日は一日中、公園で遊んで過ごす」という計画ができ、実行すべきものとしてしっかりと意識に刻み込まれた。その計画が、今朝になって突然、変更になってしまったのだ。そこで息子は、パニックを起こした。

 もちろん、公園行きが完全にゼロになったわけではない。僕も妻も、午前中から午後の早い時間帯までは、最初の予定通り、公園に行って遊ぼうと考えていた。そこに変更はない。予定と変わるのは、午後3時からの1時間半という時間だけだ。

 でも、息子にとっては「午後遅くの1時間半の予定が変更になったこと」だけでも、天地がひっくり返るほどの一大事なのである。普通の人にとっては「たったの1時間半」であっても、「公園ではまた別の日に一日中遊べばいいじゃないか」とか「今日はとりあえず午前中から3時前まで遊ぶくらいにしておこうよ」となだめられても、息子は一切納得しない。ASDを抱える彼にとって、「今日、予定通りに一日中公園で遊べなくなったこと」が大問題なのだ。

 「息子がパニックに陥るのも無理はないな・・・」

 同じASDを抱える僕は、ひそかに息子に同情した。正直に言えば、「俺も同じ立場に置かれれば、同じような反応を示すかもしれない」と思ってしまったのだ。もちろん、憤懣やるかたなしといった様子の妻の前では、それは口に出さなかった。

それまでの号泣が嘘のように破顔一笑

 このように説明すると、塾に行くのを嫌がる息子を、僕たち両親が無理やりに通わせているかのように思われるかもしれない。でも、事実はその正反対だ。

 息子は塾に行くことが嫌いではなく、むしろ楽しんでいる。毎週一日、いつも嬉しそうな表情で通っている。

 今回の補習の件も、最初、妻から聞いた息子は、「土曜日にも授業があるのか。面白そうだね」と言って、自分で手作りしたスケジュール帳の来週土曜日の欄に、太いペンで「補習」と書いていた。明らかに、補習の授業を心待ちにしている様子だった。妻はその様子を覚えていたから、

 「嬉しそうにスケジュール帳に書いていたのに、いくら予定が1週間早くなったからと言って、なぜあんなに怒るのかしら」

 と愚痴ったが、息子にとって、それが楽しい行事かどうかはまったく関係ないのだ。「突然、スケジュールが変わったこと」だけが問題なのである。