最高のアドバイザーが新著で教える
「資産を増やすより減らさない老後」のつくり方【第2回】

平山賢一(東京海上アセットマネジメント投信チーフストラテジスト)

 仮に年金額が引き上げられなかった場合、物価だけ2倍になれば、〈買うチカラ〉は半分になってしまう。「18年も経過すれば、あまり食欲もなくなるから大丈夫」などと言って、安閑としていられる水準ではないはずです。

 毎月受け取る年金額が物価の変化に完全に連動するのであれば、問題はないかもしれません。しかし、現在、想定される国民年金の給付額も、今後は高齢化の影響から、消費者物価指数が上昇しても、それに完全に連動して上昇することはないと想定されています。

 受給する年金額が、物価に連動しなくなっているのであれば、インフレのリスクを常に負っていることに他ならない。さらに個人が契約する年金保険も、定額給付型が大部分を占めており、デフレであれば〈買うチカラ〉が増えるものの、インフレであれば〈買うチカラ〉が減ってしまうのです。

 今後、老後を迎えるにあたって大切なことは、デフレであろうがインフレであろうが、〈買うチカラ〉を減らさないこと。デフレなのかインフレなのか、どちらに転ぶかわからないことに賭けるのは、避けたいところです。

 少なくとも、私たちの年金プランの大部分は、知らず知らずのうちに、「デフレの時に買うチカラが増えやすいが、インフレの時に買うチカラが着実に減るという賭け」になっています。これを、先ほどのファミリーオフィスの最高投資責任者に話せば、きっとびっくりして次のようにコメントすることでしょう。

 「せっかく蓄えた資産で、なんで賭けをしなければいけないのか? それじゃあ、ギャンブルと同じだ」

 それでは、〈買うチカラ〉を減らさずに生き残ってきた筋金入りの富裕層たちのように行動するには、どうしたらよいのでしょうか? 老後資金を貯めた私たち日本人が、どのように「減らさない老後」をつくっていったらよいのでしょうか? 次回は、この点について、拙著に書かれている鉄則の一部をご紹介しましょう。

〈次回に続く〉

平山賢一 (ひらやま・けんいち)
国際公認投資アナリスト。東京海上アセットマネジメント投信株式会社運用本部チーフストラテジスト。1966年、神奈川県生まれ。89年、横浜市立大学商学部卒業、大和證券投資信託委託入社。94年、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科修了。公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。97年、東京海上火災保険入社。財団法人年金総合研究センター客員研究員、経済産業省産業構造審議会臨時委員、「クラブ・インベストライフ」月刊会報誌編集委員、東京工業品取引所商品指数運営特別委員会委員などを歴任。著書に『2013年、インフレ到来 プロが明かす資産防衛5つのポイント』、『振り子の金融史観 金融史と資産運用』、『ハートで感じる長期投資の始め方』などがある。

著者:平山賢一
「増やすより減らさない」老後のつくり方
(講談社+α新書、税込み880円)

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