撮影:立木義浩
<店主前曰>
不老長寿ならぬ不良長寿を提言する順天堂大学医学部免疫学特任教授の奥村康は、わたしにとって救世主のような人である。奥村教授の著書によれば、人生を生真面目に生きている人より、いい加減に生きている不良のほうが、間違いなく長生きするのだという。
『不良長寿のすすめ』という本を本屋で見つけ読んだわたしは、「これはおれのことをいっているのではないか」と独りごちた。そして奥村教授に是非じかあたりしてみたくなった。
すると間を置かず、ライオンの藤重会長から「奥村さんと会食しませんか」という渡りに船のお誘いをいただいた。幸いにも教授はわたしの『甘い生活』の読者だった。
「『甘い生活』に出てくるお店はわたしもほとんど行っています。食い物の趣向が合うということは、相性がいいということなんです」と開口一番、教授は言った。人生にはときどき運命的な出会いがある。わたしはこの幸運を運んでくれた神様に感謝する。