佐々木俊尚『低価格、単純作業向けのロボット登場で「人間の単純労働者」がいらなくなる日』

年収180万円の作業員の仕事を奪うロボット

「バクスター」というロボットをご存じだろうか。日本でも人気のお掃除ロボット「ルンバ」を開発したロドニー・ブルックスという技術者が新たに開発した単純作業用の工場向けロボットだ。

 産業用ロボットというと、日本の自動車メーカーなどでも使われている高性能で精巧な機械を思い浮かべる。人間にはできないような精密な作業を高速で行えるロボットだ。しかしバクスターは、同じ産業用でもまったく違う。以下の開発元リシンク・ロボティクス社(http://www.rethinkrobotics.com/)にある動画を見てもらえればわかる。

 動画にあるように、ベルトコンベアを流れてきた製品を取り上げて別の箱に移したり、荷物を下ろしたりといった単純作業を、人間と同じようなスピードでできるだけだ。値段も高性能ロボットと比べればずいぶん安価で、2万2000ドル(約180万円)。重さは75キログラムと2人がかりぐらいで運べる程度だ。

 また作業を行わせるために高度なプログラミングは不要で、実際にその場で人間が手を添えて作業をやらせ、腕に配置されているボタンを押してその作業を「覚えさせる」だけで済む。まあ非常に簡易なものなのである。

 これだけを読めば、「いったいそんなショボイ機械に何の意味が?」と思う人もいるだろう。しかし上のパラグラフで私が書いたことをもう一度読み直してほしい。
 ・単純作業を普通のスピードで行い
 ・重さは75キログラム
 ・価格は約180万円

 これは身も蓋もないが、端的に言ってしまえば、中国やベトナムの新興国で雇う若い工員と同じスペックということだ。年収180万円の工員を雇って単純作業を行わせるということが、ロボットでもできてしまうということなのだ。しかもこのロボットは福利厚生も社会保険も社員食堂も必要ないので、余計な固定費はいっさいかからない。

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