民主党にはコリゴリ、自民党には飽き飽き—。2大政党は国民から・世直し・を期待されながら、それに応えることはできなかった。膨らんだ期待があっという間に萎んだ日から3年。失望しか生まれない政治とは、もう決別しよう。そのための選択肢は、たったひとつしかない。
大阪では「もうひとつの選挙」準備
この国は今度こそ、本当の「変革」を成し遂げることができるのか。12月16日、日本の有権者がどんな選択をするのか、関心は海外でも強く、株価や為替相場などにその反応が現れている。
そんな中、本誌は驚くべき情報を入手した。日本維新の会・橋下徹代表代行の本拠地、大阪市の幹部の一人がこう語る。
「実は大阪市の選挙管理委員会は、野田佳彦首相が衆院の解散を宣言した直後から、市長選挙の準備に取り掛かっています。選挙公報、候補者のポスターを張り出す掲示板、投票所となる小中学校の手配。なぜ市長選の準備を急いでいるか? ・いざ・という時、準備をしておかないと間に合わないからです」
大阪市長は、言うまでもなく橋下氏である。11月23日現在、橋下氏が大阪市長を辞めるなどという情報は、公にはない。しかし、その足下では、密かに市長が交代することを見越し、緊急選挙戦の準備が進められているというのである。
これは何を意味するのか? 答えは一つと思われるが、それは後述しよう。
12・16総選挙は、この閉塞感漂う日本の状況を打破するための、3年ぶりの決戦だ。'09年、国民は自民党を政権の座から引き摺り下ろし、民主党に国政を委ねることを選んだが、結果は失敗に終わった。民主党は、硬直した官僚機構の改革を公約にしながら、結局はそれに飲み込まれ、言い訳だけを繰り返す集団に成り果てた。
この延々と続く負のサイクルを、今度こそ打ち破るのは誰なのか。・選択ミス・は、もはや許されない。
決戦を前に、各種世論調査では安倍晋三総裁率いる自民党の優勢が伝えられている。メディアによっては、自民党の獲得議席を280議席などと予想。3年前の政権交代選挙と正反対に、窒息していた自民党が一挙に大復活する……というシナリオが多い。
だが、果たしてそう簡単に行くのか。政治評論家の浅川博忠氏はこう語る。
「自民党が圧倒的に優勢などと言われれば、所属議員は調子にのりがちで、結果として『以前の批判を忘れたのか』と、国民の怒りがぶり返すことも考えられます。すでに安倍氏が張り切りすぎている部分があり、これから反発が出てくるでしょう。自民党の政権奪還と言いますが、もし200議席を割るようなことがあれば、公明党と組んでも過半数は取れません」
野田首相や民主党議員らは、「自民党の負の遺産で我々は苦労した」と強調している。「アンタが言うな」という突っ込みはさておき、同じような思いを抱く国民は多いだろう。
政治ジャーナリストの山田惠資氏もこう語る。
「維新の会は、石原慎太郎前都知事の太陽の党と合流したことで、結果的には勢いを盛り返してきました。石原氏と合流する前は100議席はとてもムリ、という状況でしたが、大台に達する可能性が出てきたと思われます。維新の会が100議席の場合、自民党は票を食われて200議席程度に止まる。それだと自公で過半数には達しません」
実はこれは、直近の大手メディアの世論調査にも表れている。たとえば、橋下—石原連合が決定する前に行われた読売新聞の世論調査で、「比例代表の投票先は?」という質問に対し、自民党と答えた人は26%、民主党は13%。そして維新の会は8%だった。
ところが、連合結成が伝えられた後に行われた毎日新聞の調査では、同じ質問に対し、自民党17%、民主党12%のところ、維新の会は13%。これに太陽の党の4%を加えると、なんと橋下—石原連合は、圧勝すると言われている自民党とほぼ同じ支持を受けていることが分かる。