Close up 佐藤寿人(サンフレッチェ広島)「ワンタッチへの矜恃」チームを初優勝へ、そして自身も初の得点王へ

フライデー プロフィール
広島の練習グラウンドは市内から車で1時間かかる。標高も高いため、取材日の朝は気温が0℃近かった

 欲しいと思ったタイミングでパスが出ないと、すかさず声を出して要求する。この日の〝標的〟はMFの石川大徳(24)だった。休憩に入ると石川に駆け寄り、先ほのプレーを確認、お互いのイメージをすり合わせていた。

「いくら自分が動き出しでフリーになっても、ボールが来なかったら得点はおろかシュートも打てないですから、パスを出す選手と練習後などにコミュニケーションを取って、イメージを共有する部分が自分の生命線だと思っています」

 佐藤は、時間があれば自身のプレーや海外サッカーの試合映像を繰り返し見直すという。尊敬する選手は、元イタリア代表のフィリッポ・インザーギ(39)だ。

「インザーギとか海外の映像だったら、シュートを打つ直前の2~3プレーの動きをよく見ますね。ボールを受ける準備の段階や、シュートを打つポジションへの入り方などです。参考になる動きをイメージとして持つためです」

 普段は家のテレビで見るが、遠征時のホテルやスタジアムへの移動の際は、iPadを片手に、映像に見入っている。

「スタジアムへ向かうバスの中が、一番多く見るかもしれませんね。試合に向けて良いイメージを持っておくというか、頭の整理をすることができますから」

 四六時中サッカーのことばかり考えている佐藤だが、家に帰れば小学3年生の玲央人とくん(9)と幼稚園年長の里吏人くん(5)という2児の父である。家族のふれあいはあるのだろうか。

「合宿だったり遠征だったりという時は別ですが、普段はサラリーマンの方の家庭よりも子供といる時間は長いと思います。日によっては、子供が学校から帰ってくるより早く自分が家にいることもありますし(笑)。よく近所で一緒にサッカーをします。ただ、連休がないので遠出をしても日帰りのことが多くて、公園に行ったりとかイチゴ狩りをしたりと近場で遊ぶくらいしかないです。月曜日がオフなんですが、その日は子供が学校に行っていますから、だいたい家にいますね」

日本代表への思い

 初優勝の立て役者となった佐藤だが、なぜか日本代表には縁が遠い。 '06 年、ジーコJAPANで代表に初選出されたが、ドイツW杯本大会では代表漏れ。イビチャ・オシム(71)の下ではサイドでのプレーを求められ、岡田武史(56)も佐藤には1試合につき5分ほどしか時間を与えていない。アルベルト・ザッケローニ(59)が就任したここ2年に至っては、招集されたのは1度きり。しかも、ケガをした前田遼一(31)に代えての追加招集だ。