「ほかに同じ早良区内の百道は東京の成城のような比較的新しい高級住宅地、中央区の大濠は麻布や番町といった古いお屋敷街ですね。西新はさしずめ田園都市線沿線といったところでしょうか」
と大橋氏。もともと福岡市には中洲の屋台で有名な那珂川を境に、東が商人の町・博多、西が城下町・福岡の地理概念があり、早良区、中央区は城下町側だ。地元大手不動産会社の解説によると、
「昔からこの2つの区にはハイクラスが集中していますが、市民自慢の大濠公園に沿った大濠1丁目・2丁目がとくにグレードが高いんです。公園が望める物件ほど高額となり、新築の一戸建ては軽く億を超しますね。ただし古い住宅街のため、出るのはほとんどが中古マンションです。
百道は平成初頭から急成長し、シーフロントの高級タワーマンションや内外の有名建築家による住宅群が続々と登場しました。転勤してきたエグゼクティブや若いリッチ層が中心で、新築の一戸建ても多い」
人と人との距離感と親密度 そのバランスが博多っ子はいい
百道は新しいエリアだけに電気ケーブルの埋設が進み、街路樹や公園も景観最優先でプランされている。隣接する西新については、大橋氏も挙げた理由で古くから幅広い人気をキープ。
不動産相場は東京より3割安とされ、これら一等地の物件価格はたしかにリーズナブルだ。
「70ヘーホーメートルから90ヘーホーメートルの中古マンション需要が高く、築'80年代だと1800万円前後から、築10年未満になると3000万円を超えます。子どもが独立して戸建てからマンションに住み替える50歳代の夫婦が多いのですが、ほとんどが2LDKではなく3LDKを希望されますね。子どものために客室を用意するのが福岡では常識のようになっています。平均購入価格は2000万円から3000万円の間ですね」