M7以上 首都直下型地震で、東京はこうなる

徹底シミュレーション 断層隆起、地割れ、火災旋風、水没、液状化…その時、何が起こるのか
フライデー プロフィール

 液状化は東京湾沿岸のコンビナートに大きなダメージを与える可能性がある。

「'64年の新潟地震以前に埋め立てた場所は、液状化対策を何も講じていない所が多い。そういう場所が湾内のいたるところにある。長周期地震動で揺れると、タンクの中の貯蔵物が東京湾に流れ出る恐れがある。金属と金属が触れて火花が出て、引火する可能性もある。湾内にある約600基の浮き屋根式タンクから石油製品が流れ出せば、東京湾は閉鎖される」(早稲田大学理工学部教授・濱田政則氏)

 東京湾の船の航行が不可能になれば、支援物資も届かなくなってしまう。

 地割れや地面の隆起にも注意が必要だ。寒川氏は「そこかしこに大小の地割れが起きる。河川や水路に沿った場所は特に可能性が高い」と予測。渡辺実氏も「アスファルトに亀裂が入るような現象はいたるところで起きる」と想定する。

警戒すべき3つの活断層

 活断層がズレれば、その上にある建物は倒壊する。首都圏の内陸地にも危険な〝トリガー〟が多く潜んでいるのだ。東洋大学社会学部教授・渡辺満久氏が言う。

「立川断層が3・11の影響で動きやすくなっている。東京の西部の立川、国立、府中などが大きく揺れる可能性があります。断層をはさんで、北東側がはね上がり隆起する可能性が高い。あと、心配なのは綾瀬川断層。高崎から草加、川口、行徳まで100km以上続く活断層がズレを起こすと、東京の下町や埼玉の住宅地でも、地盤の弱いところが大きく揺れ、被害が集中する。三浦半島の活断層群も3・11の後、動きが活発になったと言われている。この3つが首都圏で要注意です」

 そして忘れてはならないのが津波だ。早稲田大学理工学術院教授・柴山知也氏によると、津波には東京湾の外から来るものと、中で起こるものがあるという。

「外から来る津波は、南海トラフや相模トラフなどでプレート境界型の地震が起こった後に、富津岬をかすめて東京湾の中に入ってくる。横浜、川崎で4m程度、東京湾奥で2.5~3.0m程度になると考えられる。東京湾北部地震の場合は、津波は1m未満と高くはならないものの、震度が大きいため高潮防波堤が壊れてしまう可能性がある。そうなると、江東区や江戸川区の海抜ゼロメートル地帯は浸水する。今年10月末、ハリケーンに襲われたNYのように都市機能は麻痺します」

 専門家でも、どんな事態になるか十分には予測がつかないというM7級の首都直下型地震。明日からではなく、今日から〝その時〟に備える必要があるのだ。

グラフィック作成:カサネ・治 資料写真提供:アフロ マップ作成:アトリエ・プランPHOTO:中村和彦(抜弁天) 読売新聞/アフロ(野島断層)

「フライデー」2012年11月30日・12月7日号より