田原総一朗「イノベーターに聞く」 第1回
坂根正弘(小松製作所会長)VOL.1
防犯効果を狙ったGPSが予想外のビジネスモデルを生み出した

[左]田原総一朗さん(ジャーナリスト)と[右]坂根正弘さん(小松製作所会長)

◆イノベーションマガジン vol.003(2012年11月7日号)より◆
田原総一朗「イノベーターに聞く」第1回 坂根正弘(小松製作所会長)インタビューの一部を紹介します。
 

日本の市場が大きかったゆえに電機業界は対応が遅れた

田原: 坂根さんは経営者としてコマツの建て直しに抜群の手腕を揮われました。ざっとふりかえれば2001年に社長に就任した直後、創立以来最大の赤字800億円という厳しい時期に直面したものの、2002年度には約300億円の営業黒字というV字回復を達成しました。2009年には米ハーバードビジネスレビュー誌の「在任中に実績をあげた実行力のある最高経営責任者(CEO)」のトップ100に、日本人トップの17位で選出されています。

 最近では日本の企業や社会のあるべき姿について提言もしています。坂根さんには本当に会って、いろいろお聞きしたいと思っていました。

坂根: ありがとうございます。

田原: 最初にお聞きしたいのは、日本の競争力です。スイスの有力ビジネススクールのIMD(国際経営開発研究所)によれば、89年から93年までトップだった日本の国際競争力は、今年は27位にまで沈んだ。なぜここまで急速に日本の競争力は衰えたんでしょうか。

坂根: これは、とにかくいろいろな要素がからみ合っています。コマツはこれまでのいろいろな経験を乗り越え、元気印の会社になってきました。これまでコマツが抱えていた課題というのは、日本、あるいは日本の企業にとって共通の課題だと思います。今の電機業界は、国際競争力という観点では、われわれよりもかなり遅れて同じ道を走っているように見えます。

田原: コマツから見ると、電機業界は相当遅れていますか?

坂根: 今までは日本の市場が大きかったですよね。だから日本のなかだけで何とかなっていたわけです。私たちはバブルの頃がピークで、あの頃から見る日本の市場は4分の1くらいにまで縮小してしまった。どうにもならなくて海外展開をして、今はコマツの建設機械・車両部門の国内の売上比率は15%しかないんです。

 しかし、一度は海外へ生産拠点を移していくんですが、余分なコストを全部除いたら日本においていても十分コスト競争力があるということがわかった。2011年度の実績で見るとコマツの国内生産比率は55%。そのうち15%を日本で売って40%を輸出している。この為替レート水準でも日本で売るより輸出のほうが利益を出しているんです。

 私たちが歩んできた道をお話しすると、おそらく日本企業共通の課題が浮かび
上がってくると思います。

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