# 「息子と僕のアスペルガー物語」 # ライフ

奥村隆「息子と僕のアスペルガー物語」【第5回】
「お前は天才だ」と呼ばれた日

奥村 隆 プロフィール

 僕たちが夢中になっていた、「ザ・ベストテン」の総合ランキングは、4つの各種ランキングを元に決定されていた。それは、

レコードの売り上げ(当時、ダウンロードというものはもちろんなかったし、CDは存在していたが普及していなかった)
視聴者から番組への葉書によるリクエストの数(今ならメールだろうが、当時のファンは手書きの葉書で番組にリクエストを出したものだ)
ラジオ各局のベストテン番組のランキング
有線放送へのリクエスト数のランキング

 の4つである。曲の総合点は、①~④それぞれのランキングに何らかの係数を掛けたものを足し合わせ、算出していたようだ(満点は9999点)。この総合点によって、毎週、すべての曲の総合ランキングが発表される。

 覚えている人も多いと思うが、「ザ・ベストテン」は生放送だった。1位から10位までの曲は、歌手がスタジオや中継先から歌うことが許されていた。

 

 中にはオフコースや中島みゆきなど、「テレビに出ないことがポリシー」などと言って出演しない人たちもいたが、多くの歌手にとって、この番組で歌うことは最高の晴れ舞台だった。工夫を凝らしたセットをバックに歌う歌手たちを緊張感が包み、その雰囲気は、今思い返しても素晴らしかったと思う。

 でも、僕にとっての楽しみは、何と言っても、毎週変動するランキングにあった。中でも、前述した4つのランキングの動向を細かくチェックしているときが、僕にとっては何よりも幸せな時間だった。

大半の視聴者が興味を持たないシーンを見つめて

 4つのランキングについては、いつも番組の冒頭に、それぞれの1位から10位までがテロップ(画面に出る文字)で発表されていた。ただし、1つのランキングが画面に映っているのはわずかな時間。僕の記憶では、その順位をアナウンサーなどが口頭で読み上げるということはなかった。あくまでも、文字情報として短時間、視聴者に提示されるだけだった。

 でも、スポーツの記録集やギネスブックを細かく眺めるのが大好きだった僕にとって、4つのランキングが次々と表示される番組冒頭のシーンは、まさにこたえられないものだった。大半の視聴者があまり注意を払わないであろうこの最初のシーンを、僕は毎週、じっと見つめていた。