病気の値段 保険がきかない治療もたくさんあるから ひとめで分かる一覧表付き

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週刊現代 プロフィール

 それは、「高額療養費制度」というもの。対象となるのは保険がきく医療費に限られ、決められた限度額を超えた場合、申請すれば超えた分の費用が払い戻される仕組みだ。

 負担の限度額は70歳未満の一般的な所得者の場合は、次の式で計算される。

〔8万100円+(かかった医療費-26万7000円)×1%〕

 たとえば、100万円医療費がかかり、窓口で3割の30万円を支払った場合、上記の式で計算すると、限度額は8万7430円となる。これが実際の自己負担額で、30万円からこの額を引いた21万2570円が高額療養費として戻ってくる。ただし、負担上限額は所得や年齢によって異なるので、確認が必要だ。

 申請してから返還されるまで3ヵ月程度を要するため、その時期だけでも費用を立て替えるのが困難な場合、事前に申請すれば、立て替えなくても限度額だけを支払えばよい「現物給付」という制度もある。これまでは入院にかかった費用のみだったが、今年4月から外来治療にも適用となった。

 至れり尽くせりの制度のように見えるが、注意すべき点もある。まず、現物給付の制度は事前申請が必要なため、心筋梗塞や脳卒中で緊急入院が必要となった場合は、一時的ではあるが、初期治療費はすべて立て替えなければならないということだ。

 今年8月に心筋梗塞を起こした坂井徹さん(52歳・仮名)の場合もそうだった。

「朝食後に新聞を読んでいたら、心臓の少し上を爪でギューッと握りつぶされるような、それまで体験したことのない痛みを感じました。救急車を呼んで病院へ搬送されたんです。意識が朦朧とする中、手術について説明を受けました」

 手術は無事に終えたが、この状態で事前に高額療養費の現物給付の申請ができるはずもない。坂井さんは、退院後に約35万円の医療費を窓口で支払ったという。

 さらに、高額療養費制度のこんな落とし穴もある。

「私が心筋梗塞を発症したのは8月末だったのですが、1回目の治療が終わったあと、もう1ヵ所手術が必要な部分が見つかって、9月に入ってから再手術を受けたんです。もし月初めに倒れて、再手術も同じ月の間に済ませられたら、もっと医療費の負担は安く済んだのですが・・・・・・」(坂井さん)

 高額療養費制度は、1ヵ月の間にかかった医療費の合計額が考慮される。たとえば自己負担30万円の治療を2回受ける場合、1ヵ月の間にその治療を2回受ければ、限度額の8万円程度を1回払えばよい。けれど8月に1回、9月にもう1回治療をした場合、限度額の約8万円を2度払わなければならず、自己負担が2倍になってしまうというわけだ。