2012.12.01
不真面目に働いている僕の真面目な起業家研究
『僕たちの前途』によせて去年の秋、『絶望の国の幸福な若者たち』という本を出した。
主人公は現代日本の「幸せ」な若者たちだ。ユニクロやZARAといったファストファッションを身に纏い、スマートフォンを使って友人と連絡を取り合う。食事はマクドナルドなどのファストフードで安く済ませることができる。
一人が寂しい時にはLINEで呼びかければすぐに仲間は集まる。誰かの家で鍋でもすれば、楽しいしお金もかからない。こんな風に現代の若者たちはお金をあまりかけずに、そこそこ楽しい生活を送ることができる。
僕や編集者、出版社の予想に反して『絶望の国の幸福な若者たち』は意外と話題になった。「実は若者の幸福度や生活満足度が高い」というデータが衝撃的だったらしい。脱原発デモに熱心な社会学者の小熊英二には(悪い意味でも)「歴史に残る本」と言われた。
最近では僕自身がメディアで「若者代表」として呼ばれる機会も増えた。しかし自分のことを「若者代表」と呼ばれるたびに、僕は少し不思議な気持ちになる。
確かに後期高齢者の評論家よりは「若者」の気持ちはわかるだろうが、いわゆる若者文化に詳しいわけでは全くない。また僕自身の生活も、『絶望の国の幸福な若者たち』で描いた「若者」とはだいぶかけ離れたものだ。
たとえば僕はマクドナルドにも吉野家にも滅多に行かない。ユニクロやZARAは着るけれど、デザイナーズブランドの3万円を超えるTシャツも買う。LINEをきちんと使うようになったのもつい最近。海外には頻繁に行くし、消費欲は旺盛。あんまり「若者」っぽくない。
◆ 内容紹介
上場はしない。 社員は三人から増やさない。 社員全員が同じマンションの別の部屋に住む。 お互いがそれぞれの家の鍵を持ち合っている。 誰かが死んだ時点で会社は解散する。 僕は今、そんな会社で働いている。 社長は「会社」というよりも「ファミリー」という言葉を好む。 社長と言っても今27歳である僕の一学年上なので、まだ29歳である。 顔は高校生のような童顔。 低めの身長に太めの胴体。 名前は―― (本書より)
「いい学校、いい会社、いい人生」というモデルから 「降りた」若き起業家たち。 自らもその一員である古市憲寿が、徹底的にそのリアルに迫る。
上場はしない。 社員は三人から増やさない。 社員全員が同じマンションの別の部屋に住む。 お互いがそれぞれの家の鍵を持ち合っている。 誰かが死んだ時点で会社は解散する。 僕は今、そんな会社で働いている。 社長は「会社」というよりも「ファミリー」という言葉を好む。 社長と言っても今27歳である僕の一学年上なので、まだ29歳である。 顔は高校生のような童顔。 低めの身長に太めの胴体。 名前は―― (本書より)
「いい学校、いい会社、いい人生」というモデルから 「降りた」若き起業家たち。 自らもその一員である古市憲寿が、徹底的にそのリアルに迫る。