田原総一朗「イノベーターに聞く」
坂根正弘(小松製作所会長)VOL.3
あと10年デフレが続いたらコマツも日本にいられなくなる
政府日銀はまず成長を目指すことをはっきりさせてほしい

起こしたことは責めずに隠したら処罰する

―田原―
坂根さんは全社員が共有する価値観としての「コマツウェイ」を策定されました。その中で「ビジネス社会のルールを遵守する」ということをおっしゃっています。具体的にはどういうことですか?

―坂根―
これは、恥ずかしながら私の社長時代に3件の不祥事が出たことがきっかけです。

具体的な話をしたほうがわかりやすいと思うので、どういうことだったかというと、お客さんからの内部告発があったんです。「コマツが売っているこの機械は違法だ」という告発があって、調べてみたら確かに違法だったんですよ。

ところが、それは10年前に売っていたんですね。なんでそんなものを売ることができたのかというと、10年前は違法でも検査官が許してくれた、と。「ここを外したらいい」とかね。3件とも10年前だったら大きな問題にならなかったかもしれない内容でした。

業界を見たら、ほかも同じことをやっていそうだな、と思いました。しかし、私はアメリカに8年いたものだから、みんなが同じように悪いことをしている場合には、最初に正直に対応したほうが許されると考えた。そこで、「うちはこんな違法なことをやっていました」と対外公表したわけです。そうしたら、うちが一番叩かれた(笑)。結局、裁判までいきました。

そのあと私が何をしたか。コマツの社員は15年くらい前から「行動基準書」という小冊子を持っていて、どういう行動をとりなさいということが書いてあるんです。どこの会社にもそういうものがあると思いますが、私は「人間だからミスはある。不正もある。なぜなら社会の基準が変わるから、不正はあるんだ。だから、起こしたことは責めない。しかし隠そうとしたり、アクションが遅れたら、徹底して処罰する」とした改訂をしたんです。

それで、じゃあ実際にはどうするかといえば、子会社を含めて全部一度徳政令を布いた。

「今回限りは許すから、危ないと思うことは全部正直に出しなさい」ということを世界中のグループ会社に伝えたんです。そうしたら、それはもうたくさん報告が上がってきましたよ。それで「今日限りここで一線を引くから、これから出たバッドニュースは必ず社長に上げなさい」と。

それでもキチンと報告が上がる保証はない。そこでこんなことを始めた。・・・(以下略)

メルマガ『現代ビジネスブレイブ』より

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