この一言で「目の前の霧が晴れた」と新井さんは語っていました。
「要するにそれまではバットが遠回りしていたんです。さらにムダな力を入れて振り回すことによって、逆にバットのヘッドスピードを殺していた。腰のキレを良くし、できる限りボールを体の近くまで引きつけて振り抜けば、そんなに体に力を入れなくてもボールは飛んでいく。それからですね、打球が伸び始めたのは……」
若い選手を指導するにあたり、新井さんは中西さんから教わったことを常に念頭に置いているそうです。
カープには丸佳浩、安部友裕、岩本貴裕、松山竜平選手ら発展途上の左バッターがたくさんいます。ちょっとバッティングのコツを教わっただけで、一皮も二皮もむけたバッターを、私はこれまで何人も見てきました。
新井さんの指導によって、ひとりでも2人でも自分の殻を破るバッターが出てくれば、来季、16年ぶりのAクラス入りを目指すカープにとって、大きな戦力となることでしょう。