前回の記事、「上場会社の半分はダメ会社だけど、半分は成長企業だって知ってますか?「日本の未来が暗いからぼくの未来もお先真っ暗」なんて発想は大間違いだ!」の反響が大きかったので、今回はさらに調子にのって日本経団連の人事について考えてみたいと思います。
日本経団連は会長1名と副会長が18名いらっしゃいます。副会長のうち1名は経団連の事務責任者ですが、残りはみな大企業のトップの方々ばかりです。その企業の顔触れは以下の通りで、どれも日本を代表する名門企業ばかり。尊敬も集めている立派な会社ばかりです。
当然のことながら就職活動中の学生たちの人気も抜群です。このような会社から内定をもらった学生は周囲に鼻高々でしょう。株式投資という面で見ても、成長するかどうかはわからないものの、少なくとも「安全安心」という気がしませんか?
では、これらの企業の株価はどうだったのでしょうか。2002年9月から2012年9月までの10年間で区切った株価の成績を見てみましょう。
前頁の表は株価が上昇した順番に並べてあります。いかがでしょうか?
もちろん企業の評価は多面的にしなければならないので、これだけで会社の価値を測るわけにはいけません。売上高の絶対的な大きさ、時価総額の絶対的な大きさ、社員や関係産業に対する影響度などなど、他にもチェックしなければならない事柄はたくさんあります。社格なども考慮に入れるという意見もありますし、経営者の人格や品格も重要です。
しかし、とはいえ、経済界の代表であるならば、その物差しは経済合理性を持ったものであるべきです。そして少なくともこれらの企業群は「株価を上げる経営者群」のイメージからは程遠く、むしろ「失われた日本」の元気をなくしてしまった会社たちの象徴のようにも思えてきます。
私たちの年金資金はこれらの企業に相当程度投資をされていて、私たちの年金資産を大いに減らしてしまった会社群でもあるわけです。株式市場の企業の時価総額は大事な国富ですから、国富を減らしてしまった人たちが経済界の「リーダー」というのも、常識的に考えたら首をかしげざるを得ません。
前回の記事でも書いたように、日本の上場企業の半数の株価がこの10年間でプラスなのです。株価が上昇した会社はたくさんあるのです。わざわざ株価を大きく下げた会社を選ばなくても、少なくとも、株価がプラス、あるいは大きく損をしていない、という条件があってしかるべきではないでしょうか。あえて株価下落企業をリーダーにしなければいけないほど日本企業は人材に乏しいのでしょうか。私はそうは思っていません。