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奥村隆「息子と僕のアスペルガー物語」【第3回】神から贈られた「ギフト」を持つ人間

奥村 隆 プロフィール

 「私は少なくとも、息子さんをアスペルガーと呼びたくないのです。息子さんのような子供を、我々は『神から贈られた才能』という意味で『ギフト』と呼びます。科学者や芸術家に多いタイプです。息子さんは、その『ギフト』の一人です」

 僕は、医師の説明を聞きながら、「『アスペルガーと呼びたくない』ということは、本当はアスペルガーなのだろうな」と冷静に考えていた。

 アスペルガー症候群であっても、息子は他人が羨む才能を持っているらしい。才能があるというのなら、ASDだって問題はないじゃないか。因果関係は素人の僕にはわからないが、ひょっとしたらASDだから才能があるのかもしれない。何よりも、思い切って専門医の診断を受けさせてよかった---。

 僕はそう考えてから、医師に切り出した。

 「先生、おおよそのことはわかりました。ありがとうございます。

 

 一つだけ、伺いたいことがあります。息子が勝手に悪い方に想像を膨らませてパニックになりやすいことはお話ししましたが、そういうときの対処法はあるのでしょうか。あるのなら、教えて頂けませんか。それさえわかれば、日常生活の悩みの多くが解消されると思うんです」

 僕の質問に医師は即答した。

 「パニックになる必要がないという理由を、問題が起きた発端の段階から、丁寧に、かつ論理的に息子さんに説明してあげてください。決して曖昧な表現はしないでください。余計に不安になります。

 そして今後は、日常生活の中で、社会と軋轢を起こさない方法を一つずつ、やはり丁寧に論理的に教えていってください。大事なのは、『問題の発端から』『論理的に』教えるということです。私もお手伝いしていきます」

 なるほど、と僕は思った。この医師は本当に息子の日常生活を熟知しているかのようだ。確かに普段から、恐怖を呼び起こしそうなことが起こっても、丁寧かつ論理的に説明すれば、時間はかかっても息子は納得してくれる。

 これならできる。しかも今後、もし何か困ることが起こったら、そのたびにこの医師に電話して相談できるのだ。何だ、息子のパニックなんて簡単に対処できるじゃないか・・・。

 しかし、現実はそんなに甘いものではないと僕は数日後に思い知らされることになるのだが、それについては後述することにしたい。