160キロ右腕(花巻東)大谷翔平を決意させたドジャースの戦略

フライデー プロフィール

「メジャー球団のスカウトが日本の高校に入り込むのは難しい。ところがドジャースの小島圭市スカウト(元巨人)は、花巻東がアンダーウェアを採用するなど関係が深い某スポーツ用品メーカーの取締役と昵懇(じつこん)で、この会社を介して数年前から学校関係者と親交を深めてきました。佐々木監督もすっかり感化されて、基礎トレーニングなどにドジャースの練習メニューを取り入れたほどです」

高校2年時には股関節の故障に泣かされた。以来、トレーニングは下半身強化を重点的に〔PHOTO〕荒川祐史

 メジャー挑戦は高校入学時からの夢だと語った大谷だが、花巻東の〝ドジャース流〟で育てられるうちに、その思いがいっそう膨らんだことは疑いようがない。

「さらにドジャースは両親を安心させようと、メジャーに行った際のマネジメント事務所も早くから紹介していました。ドジャースと深い関係にある、あの『吉本興業』です。

 全国的に名の知れた大企業ですし、かつては石井一久、斎藤隆、黒田博樹も同社のマネジメントでドジャース入りを果たしています。大谷の場合はまずはマイナー契約から。契約金は150万ドル(約1億2000万円)、年俸はその半分ほどが妥当な線でしょう」(同前)

 まだ身体的にも成長途上で、甲子園で未勝利と実績にも乏しい大谷。彼と同じように日本プロ球界を経ずに16歳で海を渡ったマック鈴木氏(37、元ロイヤルズなど)がマイナー生活での心構えを説く。

「周りにいるのは、ほとんどがメジャーに上がれない選手たち。だからメジャーとの違いが分からず『どこまでやれば上に行けるのか』と不安になりがちです。決して焦らず体作りをじっくりと進めて、現実的には5年以内でのメジャー昇格を目標にするべきでしょう」

 記者会見の2日後、本誌は授業を終えて寮に帰ろうとする大谷を直撃した。

―フライデーです。ひと言いいですか。

「すみません。監督を一度通してもらわないと……」

 立ち去ろうとした大谷だったが、本誌が差し入れた英会話の参考書を受け取ると、「ありがとうございます」と言って、はにかんでみせるのだった。

 東北から米国へ―、大谷翔平の壮大な戦いが始まろうとしている。

「フライデー」2012年11月9日号より