ある日、私のもとへひとつの段ボール箱が届きました。
友人からでした。箱を開けると、「チームづくりを語るなら必読でしょ」と書かれた手書きのメモとともに、十七冊のマンガが入っていました。
タイトルには、『GIANT KILLING』(以下『ジャイキリ』)とあります。ジャイアントキリングというのは、格下のチームが強豪チームを倒すこと。すなわち、「大金星」とか「番狂わせ」を表す言葉です。
そういえば以前、「サッカーの監督が主人公の、面白いマンガがある」とか言ってたな。でも、タイトルに〝KILLING〟なんてちょっと物騒な感じ。軍隊式マネジメントっぽいストーリーだったらイヤだな、などと思いながらページをめくり始めた私は、一巻を読み終えたとき、主人公である監督・達海猛の言動にすっかり興味シンシンになっていました。
まずは、選手たちの気持ちをグッとつかむ情熱的、かつ論旨明快なプレゼンテーションをし、チームの雰囲気をよくしながらうまくまとめていく。その上で、自分が得意とする鉄板の戦術を伝授し、与えた役割を徹底的にやり切らせる。結果が出たら活躍した選手をほめ、結果が出なければ叱咤激励して、さらにモチベーションを高めていく――。
……なんて、「ビジネス書のハウツーに書いてありそうなこと」は一切やりません、達海は。