「いじり」、「いじられ」こそが大切!10月9日~11日に「清原和博」が急上昇した情報伝播のメカニズムとは何か

 先日、部下からこんな報告がありました。

 とある案件で、1年半ほど前に、掲載された商品開発に関する新聞記事が、テレビ番組のディレクターの検索にヒットし(当り)、そこから取材企画が始まりトントン拍子に決まり、結果的に10分超の長尺のコーナーで取り上げてもらい、商品も大いに売れたそうです。

 それは良かったね! ラッキーだったね! と終わればいいのですが、実はPRにおいては、こういう事例は非常に重要な示唆を与えてくれます。

 記事は開発者へのインタビューだったそうですが、その記事が1年半後にテレビ番組のディレクターの検索にヒットする(当り)なんて誰が想像し得たでしょうか。そこから取材企画が始まりトントン拍子に決まり、結果的に長尺のコーナーで取り上げてもらい、商品も売れたという結果は何よりでした。

 新聞記事がテレビ番組で紹介されたり、Yahoo!トピックスに取り上げられたりすることは間々あります。メディアからメディアへ、情報の連鎖反応、ニュースが伝播する仕組みを僕らは体感してきました。その仕組み(メカニズム)をよく観察し、偶発ではなく、そこから戦略を逆算することが大切なわけです。

 例えば、冒頭の事例で言えば、私は "1年半"というタイムラグに着目しますし、その記事の内容も吟味します。なぜ、その記事は話題を広げる起点=「1次情報」になり得たのかを検証したくなるわけです。

 で、ネット上の情報の連鎖を眺めていると、以前とは異なる「連鎖の法則」が見えてきています。そこが非常に面白いし、興味深いわけです。例えば・・・10月9日から11日の3日間に起こった『清原和博の情報伝播メカニズム』について考えてみましょう。

 10月10日のことでした、Yahoo!のリアルタイム検索*を眺めていると、突如として、注目キーワードに「清原和博」があらわれました。

Yahoo!ジャパンが昨年6月からスタートしたサービスで、通常の記事検索だけでなく、ツイッターのつぶやきや、フェイスブックなどの公開情報までも網羅している、まさにリアルタイムで世の中の事情や話題がキャッチできるサービスです。

 えっ、なんで、清原!? 野球好きの私はすぐに反応して、その「清原和博」をクリックしました。なぜ、いま清原なのか。今回の話題の真相を探りました。「清原和博」の伝播メカニズムは以下のような経緯ではなかったかと推察します(私がツイッターやネット記事から読み取った経緯なので、もし、ご意見があれば、どしどしご指摘ください)。

 まず、前日の10月9日に阪神の金本知憲選手の引退セレモニーに、清原氏が登場。引退する金本選手に花束を贈呈。

 そのときの清原氏の圧倒的な肌の黒さにネット界隈がザワつく。「さすが!」「なんじゃこれりゃ?」など騒然。

 通常であれば、スポーツニュースや翌日のスポーツ紙に取り上げられて、その反響で終わるはずが、翌日10月10日に、漫画家・カネシゲタカシ(@kaneshige_t)が主催する野球ファンのための「野球大喜利」というツイッターで以下のようなお題が出される。

 【野球大喜利】現在の清原和博にピッタリのニックネームを考えてください。

 元々ネットの世界では人気のある清原氏、前日の強烈な印象と相まって、この野球大喜利ネタが拡散されはじめる。ツイップルなどのランキングでも注目を集め、Yahoo!のリアルタイム検索で注目キーワードにのぼり詰めるつめる。

「ELT」=「LTE」ではなぜつまらないのか

 リアルタイム検索で、ツイッターを中心に、世の中の"反響"を眺めていると、いかにネットユーザーがテレビを見ているかがわかります。

 午前中には、朝一番には、「めざまし」「ZIP!」「とくだね」などの番組名やその日のテーマが大いにつぶやかれます。夕方になると「ミヤネ屋」が注目キーワードにあがってきます。記者会見に登場したお笑いタレントやドラマに出演している女優、俳優の名前も然りである。こういうストレートなマスでの打ち出しに対する反響がホントに多い。

 ただし、一方で、興味深いことに、単なるマス⇒ネット反響ではないものもあります。先ほどの清原氏の場合、最初のきっかけはマスですが、その後、漫画家・カネシゲタカシの【野球大喜利】がワン・クション噛んでいる。それによって、話題が拡張している。つまり、【野球大喜利】はある種のキュレーション(情報の選別)とブースター(情報が拡散する圧力)の両機能を担っているわけです。この場合は、オモシロな方向の「いじり」ですね。ネットでの情報伝播において「いじり」「いじられ」は非常に大事な要素です。

 最近は、広告でもPRでも、強いマスの押し出しに対して、予想通りに大きな反響が出るのを眺めていると、関心はするものの、視聴者目線では、なんかつまんないなあとも思うのです。

 例えば、先日のソフトバンクの記者発表会で、「Every Little Thingが登場。今後、同社のCMでELTではなくLTEとして活動するそうです」というネタが、めちゃくちゃ拡散していましたが、"凄いなあ"と関心しつつ、でも、なんかつまんないなあと思ってしまう自分がいます。

 なぜかと考えると、つまり、いじりようがないのです。「ELT」と「LTE」という駄洒落ネタなんだけど、もう、こっちがいじる余地がない気がしましたね。

 その他、非マスの1次情報が一気に拡散するような場合もありますよね。

■マス系の強い押し出しに対して、ストレートな反応、反響
■マス系のネタに「ブースター」が介在して、ボケネタ、ひねったネタなどに。ツッコミな反応、反響
■非マス系の情報が、キュレーションにヒット「当り!」。そこが「ブースター」になって上昇
■非マス系の情報が、事件事故、季節の話題で、いきなりマスにヒット「当り!」

 などなど・・・。

 情報伝播のメカニズムは奥が深いのです。そんな話を今月末の「ad:tech Tokyo 2012」でやります。今年も広告の祭典の端っこで、PRを考えます。10月31日に情報伝播のメカニズムについて、Yahoo!ジャパンの建山さんとお話します。アドテック東京にお出かけの皆さん、よかったら、是非、お立ち寄りください。右端ですので迷わずお越しくださいね。

 ということで、告知でした(^^ゞ

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら