[プロ野球]
田口壮×二宮清純<前編>「イチローのレーザービーム、ここがすごい!」

ワールドシリーズ、日本シリーズ特別対談
スポーツコミュニケーションズ

日本の球場はフェンスが高すぎる!

二宮: ただ田口さんも関西学院大からドラフト1位でオリックス入りした時は内野手でした。外野であれだけのレベルに到達するには、かなり苦労もあったでしょう。
田口: 僕の場合は「外野でダメなら終わり」という感覚だったので、やるしかなかったんです。内野手でプロ入りしてキャンプ3日目でイップスにかかりましたから(苦笑)。ちょっと投げ方にクセがあったらしく、それを指摘していただいたのですが、直そうとしたらバランスが崩れてしまって、どう投げていいのか分からなくなってしまいました。 

二宮: イップスは精神的なものだとよく言われますが、本当の理由は何なのでしょうか。
田口: やはり気持ちの部分が大きいと思いますね。現に三遊間の当たりとか捕ってから余裕がないほうがいい送球ができるんです。逆に正面の打球で余裕があると“あれ? ちゃんと投げられるかな”といろいろ考えてしまう。それで“はよ、投げなあかん。でも、どうしたらええねん”と……。なんだか爆弾を持たされている気分になるんですよね。

二宮: それで投げると、とんでもないところへ送球してしまうと。
田口: はい。僕の場合はスタンドに放っていましたから、完全に重症でした。自分でも内野では厳しいだろうと感じていましたが、仰木監督になっても、まだショートで使ってもらっていた。最終的に内野をクビになったのは3年目の4月の終わりです。2つ続けて送球エラーをしてしまって交代させられました。ベンチに下がると「(内野は)もうええやろ」って言われましたね。

二宮: でも、その翌年(95年)から外野でゴールデングラブ賞を受賞していますから、もともとセンスもあったのでしょうね。
田口: いやいや。外野手経験はゼロに等しかったですから、最初はライナーで判断を誤って頭上を越されたり、フライを落としたりしていましたよ。タッチアップの時に後ろから勢いをつけて捕らなきゃと、後ろから助走をつけて突っ込んだら、僕の後ろにフライが落ちたこともあります(苦笑)。それで本西さんにも練習の方法から全部教えていただいて、何とか守れるようになりました。

二宮: 日本では低反発の統一球になり、打球が失速するため、外野手の能力に再びスポットが当たる状況になっています。パ・リーグを優勝した北海道日本ハムがその典型ですね。
田口: 個人的には今の統一球はメジャーのボールと比べても飛距離はさほど変わらないと思います。ただ、日本の球場はフェンスが高すぎる。だから、失速しているように感じるのではないでしょうか。

二宮: フェンスが高い分、外野手の打球処理もフェンスに飛び込むのではなく、跳ね返りを待つ守り方になる。これでは外野手の能力を最大限に発揮できないし、観客にスーパーキャッチをプレゼントすることもできない。
田口: メジャーの球場の多くは手を伸ばしたら、フェンスのてっぺんからグラブの先が出るような高さに設定されています。これだと外野手のフェンス際のファインプレーも増えるし、ホームランだって増える。野球がもっと面白くなると思うのですが……。