三枝成彰 第4回 「『女にモテるためのクラシック講座』改め『教養のためのクラシック講座』いよいよ開催!」

島地 勝彦 プロフィール

シマジ これにクラガンモアをちょっと垂らすと、こうなります。

三枝 たしかに。ますます大人の飲み物になりますね。この伊勢丹のお店ではネスプレッソ・マシンも売っていますが、シングルモルトも売ってるんですか?

シマジ もちろん、シングルモルトも沢山売っております。

セオ それでは一息ついたところで、またお聞きします。モーツァルはどうですか?

三枝 モーツァルトは音楽史上最後の職人であり、最初の自由人といえます。小林秀雄の名著『モオツァルト』に有名な一節があります。「モオツァルトのかなしさは疾走する。涙が追いつかない」。

 この小林の名文にはぼくも賛同しますね。モーツアルトの乾いた明るい「かなしさ」は、天与のもので、凡百の作曲家とは別物です。意識してなせる技ではありません。モーツァルトこそ天才です。

立木 本名、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトのアマデウスって「神に愛されし者」という意味なんでしょう?

三枝 そうですが、「アマデウス」とイタリア風にラテン語にいい換えたのは、当時の音楽の中心地は何といってもイタリアだったからです。出来るだけドイツ臭さをなくして、お洒落にしたかったんでしょうね。ちょうど戦後日本にジャズが輸入されて大流行したとき、ディック・ミネとかジョージ川口と名乗ったのとよく似ています。そうするとアメリカ人風な芸名になるでしょう。