慈恵医大病院10万人のデータで検証する
「小太りが長生き」は本当か男50歳で痩せるべきか

週刊現代 プロフィール

「身長164cmの適正BMIは18・5~24・9。つまり、50・1~67・4kgですから、65kgでも十分、適正体重ということになる。BMI22の値に相当する体重に向けて、体重を減らしたりする必要はないのです。

 むしろ、痩せているというのは絶対的に何かが不足しているということに他なりません。特に問題なのが筋肉量。筋肉量が少ないと、70~80歳代になったときに足腰が弱くなり、転倒しやすくなります。転んで大腿骨を骨折したりすると寝たきりになってしまいます」

 これまでの20年間、日本人の死亡の第1原因はがん、2位は心疾患、3位は脳卒中とされてきたが、昨年、4位の肺炎が脳卒中を逆転した。理由は、脳卒中の症状は救急医療のおかげで改善したものの、脳卒中を発症したとき転倒したのが原因で寝たきりになり、その結果、肺炎を起こして死んでしまった、という事例が多くなった影響である。

 和田氏は日本中を席巻しているダイエットブームにも苦言を呈する。

「いつの時代も、ダイエットブームというのがあり、ダイエット本もよく売れていますね。でも、メタボ対策やダイエットは簡単にできるものではない。だからこそ手を替え品を替え、本が出てくるのでしょう。

 中にはトマトとか、リンゴだけで痩せられるというダイエット法もあるようですが、ぜひ指摘しておきたいのは、食事はクスリではないということ。クスリというのは、飲めば一つのことに特化して効く。でも、ある食品を取ることだけで、病気が治るとか痩せることはありません。食事は総合的に取らなければならないし、厚労省でも二十数種類の微量元素を取りなさいと奨めています。結局は、小太りであろうがまんべんなく栄養を取ることが、メタボ対策には一番です」

チョイデブは7年長生き

 小太りの人は単に健康な生活を送ることができるだけでない。前出の高須氏は「現代の日本では小太りな人こそが長生きしている」とも断言する。

 一見、突飛に思える「小太り長生き説」。だが、それを裏付けるデータがある。厚生労働省研究班の発表によると、40歳時点での肥満度を肥満から太り気味、普通、痩せまで4つのグループに分け、その後の寿命を調査したところ、平均余命は「痩せ」の人がもっとも短く、もっとも余命が長かった「太り気味」の人より、7年程度短命という衝撃の結果が出ている。

 太りすぎや肥満になってメタボの危機に怯えないこと、痩せすぎずあくまで「小太り」でいることが現代人の理想の生き方なのだ。

 しかし、そこで問題になるのが、このメタボという状態は、内臓脂肪だけが溜まっている場合は自覚症状がまったくないことだ。現在、メタボの該当者は国内の40~74歳を対象にした厚労省の推計('06年)によると約960万人。予備群者数に至っては約980万人もいるが、メタボ該当者であっても、なかなか症状を改善しようという気にならないのが実態なのである。