Close up 谷繁元信(中日)「24年間、プロの球を受け止め続けて」 野村克也、王貞治に次ぐ通算2753試合出場の記録を樹立

フライデー プロフィール

 就任1年目の落合の「計略」にあえて乗ってみたことが、谷繁の「第2次成長」につながったのは確かだろう。落合時代の中日のキャンプは練習時間の長さと密度の濃さで知られた。若手もベテランも関係なく、2月の沖縄で日が落ちるまで汗を流す。それが谷繁に新しい力を注ぎ込んだ。落合が就任してからの中日はリーグ優勝4回、日本一1回の好成績を残した。その本塁は常に谷繁が守り続けた。横浜と中日、異なるチームでの日本一。だが、谷繁自身は中日での '07 年の日本一にかならずしも満足していない。

試合前のダッシュ。41歳になったいまも、まるで野球少年のような必死の形相だ

「あの年はレギュラーシーズン2位からの日本一でしたからね。真の日本一じゃないって気持ちは強いですよ」

 個人記録には無関心な谷繁が、年齢などどこ吹く風で現役を続けている裏には、もう一度レギュラーシーズン優勝して日本シリーズ制覇という完全優勝への野心があるからかもしれない。

野村さんを抜いてみるのも面白いかな

 今シーズンは2歳上の金本知憲、同い年でかつてのチームメイトだった石井琢朗、1歳下の小久保裕紀など同世代の選手たちが相次いで引退を表明した。自分の身にひきつけて感慨を覚えることが多かったのではないか。

「うーん。それはありませんね。自分もそろそろみたいな考えはない。辞めることを考えないんじゃないですよ。いつかは辞めるものって気持ちは常に持っています。ただ辞めるときは急にパッと決めるんじゃないかな」

 谷繁のような年齢になると、アドバイスを求められたり、指導を期待されるようになる。

「若い選手に対してですか。オレの場合、主に接するのは投手ですが、できるだけ甘やかさないように心がけてますね。厳しさ8割、甘さ2割の配分かな。厳しさ7割じゃ今の選手はダメ。すぐ調子に乗っちゃう。8対2の割合で接していると、自然と自分で考えるようになる。いくらいいアドバイスをしても、それが役に立つかどうかは結局は本人のやる気次第ですからね」

 自分は指導者に恵まれたと谷繁はいう。入団当初、プロの作法を叩き込んでくれた福島久晃コーチ、体力づくりで徹底的に鍛えてくれた佐野元国コーチ、そして入団5年目から捕手としての頭脳と技を教えてくれた大矢明彦コーチ(のちに監督)。

「指導者との出会いは運ですよね。でも周りにいくら支えてもらってもやるのは自分。若い選手にアドバイスするのは簡単ですけど、それを役立てるのは結局本人なんですよ」