2009年の政権交代から約3年が経った。
自民党から民主党への政権交代は、日本の政治・行政のあり方を根底から問い直す出来事であったことは間違いない。だが、今や当初の熱気は薄れ、政権交代により「変わった」ことよりも、「変わっていない」ことが強調されることが多い。それが、新たな「第三極」への期待にもつながっている。
しかし、その背景にある、政治・行政のシステムへの理解が深まらないまま、単にプレイヤーを交代させるだけでは、同じような試行錯誤の繰り返しに終わる可能性が高い。政権交代の意義をある程度冷静に振り返ることができるようになった今、その実態を客観的に評価・分析することが、今後につながる一歩となるのではないか。
1995年の入省以来、財務省に勤務してきた私は、民主党政権発足後、新たに設置された国家戦略室の最初のスタッフとして登用され、以後2年間強、その立ち上げと運営に携わってきた。
本稿では、「政治主導」の司令塔を目指した国家戦略室の経験を振り返りながら、政権交代の成果と限界について考えてみたい。