望月新一氏は「16歳で開花」 ノーベル賞に手が届く日本の天才たち

週現スペシャル「ニッポンの頭脳」
週刊現代 プロフィール

16歳で米国最高学府に

地球温暖化の原因とも言われる二酸化炭素。これを空気中から捕まえて集め、そこに含まれる炭素を利用し、石油や天然ガスに代わる資源に変えられたら――。まさに夢の技術で世界をリードしているのが、京都大学工学研究科の北川進教授(61歳)だ。

「(もしノーベル賞を受賞すれば)苦労してやっている共同研究者も報われますし、ハッピーですね。ただノーベル賞受賞者にはプライバシーがありません。飲み屋にもいけない(笑)。私はのんびり、若い人たちと研究をしている方がいい」

研究室をまとめ、成果をあげてきた根底には、こんな経験があるという。

「私は、好きなことだけをやる、負けず嫌いな少年でした。小学校では塾にも行っていません。勉強より遊びまわっていましたね。

中学時代は部活で、バレーボールに没頭。全国大会は無理でしたが、京都府大会には行くことができました。キャプテンとして、チームを勝たせるにはどのような作戦が必要か、必死になって考えたものです。

私は数学者ではなく化学者ですから、グループをつくって実験していく必要があります。そこで必要な指導力、先を見るビジョンなどの能力は、バレーボールで育まれたと思います」

 

ところで、その数学では9月10日、世界でもっとも権威ある科学誌、英国の『ネイチャー』が、ある日本人数学者が「ABC予想」という世紀の難問を解決した可能性がある、と報じた。

その数学者とは、京都大学数理解析研究所の望月新一教授(43歳)だ。

500ページに及ぶ証明で、望月教授は予想を解くだけでなく、まったく新しい理論を構築したという。

取材に対しては、「(専門家による理論の検証が終わるまでは)できる限りにおいて静かな環境の下でこの検証作業に専念させていただきたいと考えております」とメールで回答。研究所全体でも取材を断っており、あくまで慎重な同教授を、取材攻勢から守る姿勢を見せている。

それほどすごい研究ならノーベル賞が獲れるか、といえばそうではない。残念ながらノーベル賞には「数学賞」がないのだ。

その代わり「数学のノーベル賞」と呼ばれるのが、国際数学者会議が授与している「フィールズ賞」だ。

「でも、望月先生は40歳を過ぎていますから、フィールズ賞も無理なんです」

と京都大学理学部数理科学系の卒業生は話す。同賞はノーベル賞よりも基準が厳しく、年齢が「40歳まで」と決まっているのだ。

「本当に数学の才能がある人は若いうちに発揮するから、ということで年齢制限があるようです」(同前)

だが望月教授の経歴こそ「数学の天才は早熟」という傾向を裏付けるものだ。

5歳のときに渡米し、中学校で1年間帰国した以外は米国育ち。高校はフィリップス・エクセター・アカデミーに入学した。日本では聞きなれないが、「テン・スクールズ」と呼ばれる米国でもっとも権威ある10の寄宿制高校のひとつで、フェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグや小説『ダ・ヴィンチ・コード』の作者ダン・ブラウンの母校でもある。

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