望月新一氏は「16歳で開花」 ノーベル賞に手が届く日本の天才たち

週現スペシャル「ニッポンの頭脳」
週刊現代 プロフィール

革命的なICを発明

コンピュータのなかで数値の計算を行う演算装置の集積回路(IC)。これを構成するのが半導体だ。大野教授らは、半導体の性質を持ちながら、磁石の性質もあわせ持つ新しい物質を作る研究を進めた。

磁石の性質を使えば、電源を切っても演算の結果が記録できる、超高速で省エネルギーのまったく新しいICを作ることができる。

革新的な技術を開発した大野教授だが、小学生の頃はなんと勉強で苦労した。

 

「スウェーデンに2年、アメリカに1年いたので、東京に戻ってきたらぜんぜんついていけませんでした。算数、国語、理科、体育、音楽、ぜんぶ苦手で……。小学校5年のときに札幌に転校した頃から、やっと『並』になった」

とはいうものの、そのときすでに物理や工学の才能をうかがわせていた。

「札幌には新居を建てて引っ越したのですが、その設計図を見ながら市販のミニチュア・キットを使って、自宅の縮尺模型を作ったりしていました。

高校まで理系と文系と半々で、大学に入る頃やっと理系に。いま思えば文系に行かなくてよかった(笑)」

ディーゼル排気の清浄装置やエアコンなどの空気清浄機能で重要なのが、汚染物質を無害な物質に分解する「触媒」だ。これまで自動車の排気系などで使われてきたのは、白金などを使った触媒が主に高温でよく働くのに比べ、常温でも、マイナス77度の極寒でも働く触媒を、微細な金のナノ粒子を使って生み出したのが、春田正毅・首都大学東京名誉教授(65歳)だ。

「金は高価なこともあり、世界の誰も試していなかった。この触媒がはじめて実用化されたのは'92年、松下(現・パナソニック)のビューティ・トワレというトイレの消臭機構でした」

そんな春田名誉教授が子供時代に熱中したのは、意外なことに野球だった。

「王貞治選手の大ファンだったんですが、実は私、王さんに直接、注意されたことがあって。小学校3年生のとき、自宅から4kmほどの多治見球場(岐阜県)に早稲田実業高等部時代の王さんたちが来たんです。観客席のフェンスに破れ目があって、私はそこに脚を突っ込んでかじりついて見ていた。

そうしたら、試合がはじまるときに、王さんがこちらにやってきたんです。そしてやさしい口調で、『ボールが当たると危ないから、脚を引っ込めてくださいね』と言われた。もう感動してね。同時に、高校生でそんな気遣いができる王さんの人柄に学びましたね」

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