本誌でしか読めない「日本の大金持ち」シリーズ番外編 女でも大富豪その儲け方を大公開

週刊現代 プロフィール

 毛皮ブランド「ロイヤル チエ」を大成功させ、ファーデザイナーとして世界的地位を確立している今井千恵氏もそうだ。結婚を機にキャビンアテンダントの職を辞し、主婦業の傍ら雑貨の輸入販売を始めた。

「'77年に友人4人が集まってレイナという貿易会社を福岡市に設立し、私が代表取締役になりました。とはいえ、ヨーロッパ旅行の趣味が高じてスタートした仕事でしたから、忙しくても割と気ままに楽しんでいる感覚だったんです」

 しかし、創業から1年ほど過ぎた頃、転機となる出来事が起きる。

「私には長男、長女の二人の子供がいて、娘がまだ2歳くらいの頃です。仕事を終え、夕ご飯の支度をしようと思ったら会社から連絡があり、炊飯ジャーに研いだお米を入れたところで炊かずに戻ったんです。

 仕事を片付けてまた家に戻ったのは10時頃。台所に入ったら、娘が炊飯ジャーに片手を突っ込んだまま眠っていたんです。衝撃を受けました。よほどひもじかったんでしょう」

 今井氏は決断を迫られることになる。

「そんな娘の姿を見て、これは仕事を選ぶか、子供たちのために家庭を選ぶかどちらかにしなくてはいけないと思いました。子育てと仕事の両立と言えば聞こえはいいけど、両方が中途半端で、結局は子供たちに辛い思いをさせていた。

 私はその時、仕事を続けるなら、子供たちが誇りに思えるような一流の会社にしようと決意しました」

原点は東京大空襲

 一緒に過ごす時間は少なくなったが、「子供たちが自分の支え」という意識はより強くなった。

「たとえば仕事が軌道に乗ってくると、ズルをすれば儲かるな、という局面が訪れる。そんな時、『子供たちに恥ずかしい思いはさせられない』という気持ちが私を守ってくれました」

 '93年に「ロイヤル チエ」を立ち上げ、毛皮をカットしてモザイク状に縫い合わせるデザインが世界中で注目を集めた。'02年には世界女性起業家40人に選ばれてパリで表彰を受け、現在の年商は約20億円。約80人の従業員を抱える。

 今井氏はデザイナーとしてのセンスだけでなく、経営者としての決断力も併せ持つ。ファッションの本場ニューヨークを一昨年に撤退、昨年3月に「ロイヤル チエ上海」を設立した。

「ニューヨークに未練がないわけじゃなかったけど、その決断は、ある意味本能的なものですよね。不必要な見栄を張らない正直さと、本能的な決断。それが、私がいままでやってこられた理由だと思います」