クオンタム流経営塾 塾生登場!
モンシュシュの双子経営者 金美花さん・春花さん 【第2回】 「大ブレイクと挫折、そして全国各地への進出」

〔左から〕姉で社長の金美花さんと、妹の金春花さん

第1回はこちらをご覧ください。

インタビュアー: 平内優(クオンタムリープ社長)

苦しい時期と、高級クラブ街での営業

美花 確かに堂島ロールは当初、職人さんたちからは不評でした。私たちは「でも、とにかく作って」と職人さんたちに頼んだんです。そうやって、あの形のものを作り続けたおかげで、今があるんだと思います。

 生クリームが増えることで、当時の流行とは真逆のあっさりした生クリームの味を強調できた。もし通常の生クリームの量だったら、その味の特別さを感じることはできなかったでしょう。当時、ロールケーキというのは「生地を食べるケーキ」でしたが、私たちのロールケーキは「生クリームを食べるケーキ」であり、しっとりした食べ物に変わりました。いわば、ロールケーキの概念を変えたわけですね。

春花 それまで生クリームは、渦を巻くための糊のような存在でしかなかった。要するに脇役でした。それが、うちのケーキでは生クリームが主人公になりました。注文が殺到したことによる、すべてが偶然の産物なんですけど、ピンチをチャンスに変えた結果になりました。

平内 それ以来、好調に伸びてきたわけですか。

美花 いえ、苦しい時期もありました。開店直後のセールの間はロールケーキがよく売れたんですが、セールの1ヵ月が終わると、本当にお客さまがピタッといらっしゃらなくなりました。そこから8ヵ月くらいはとにかく売れず、「うちは来月つぶれるかも」と思う日々が半年続いたんです。周りの人たちは、私が心労で病気にかかるんじゃないかと心配していたようです。

 でも、そんなとき、福岡の頃の知り合いの、成功しているオーナーパティシエさんが遊びに来られて、「なんでこんないい店が売れないんだ」と言って、兵庫県の繁盛しているケーキショップを紹介してくださいました。私は、「そのショップに経営のノウハウを教えてもらったら、うちもすぐ繁盛するんだ」と思って、もうルンルンで兵庫に通い始めたんです。

 ところが1週間後、福岡の方から電話があって、いきなり怒鳴られました。「あなたに紹介した兵庫県のケーキショップの経営者から『金さんがあまりにも素人すぎるから、手の差し伸べようもないし、何も教えられない』と言われたよ」と。さらに、「僕と彼との関係も悪くなるから、いい加減にしてくれ!」と怒られてしまった。私はそのとき、ハッと気づいたんです。

 兵庫県のショップの方も、何十年も頑張って苦労を重ねた結果、やっと今日の成功を築くことができたんです。それを私は「すぐ教えてくださいよ」という軽い感じで訪ねただけでした。それで、兵庫のお店の厨房で、職人さんたちに言われたことも思い出したんですね。「金さん、ここに来ても、技術もお金儲けの方法も教えることなんてできませんよ。自分たちは、ただケーキ作りが好きだから、お客様に喜んでもらいたいからやってるんで」という。

 私は深く反省しました。「何十年も厨房で下積みをして、お客様のことを第一に思う人しかやってはならない仕事なんだな。私は洋菓子業界に対して本当に失礼なことしていたんだ」って。そこで、「もう一回心を入れ替えて、洋菓子業界の人の10年分の苦労を1年間で積み重ねるつもりで頑張ってみよう。それでも駄目だったら、洋菓子業界から足を洗おう」と決心しました。

 実は、売れない時期に、人間関係の揉め事が結構多かったんです。私たち姉妹の間でも、バイトさんや職人さんとの間でも・・・。振り返ると、当時は売れないことを全部他人のせいにしてたんですね。売れないのは自分のせいじゃない、すべて周りが悪い---と。でも、経営者がそんなふうでは、揉め事が起こるのも当たり前です。その点も深く反省しました。

 建て直しは、まず足を使った営業から始めました。夜8時に閉店すると、ケーキを箱詰めして、すぐ目の前にある北新地という高級クラブ街のお店を一軒一軒訪ね、「よろしければこのケーキを味見してください」とお願いして回ったんです。こんなにおいしいケーキがあることを一人でも多くの方に知って頂きたくて、待っていても無駄なら自分から紹介しに行こうと思いました。

 そうしたら、ママさんやホステスさん、黒服さんたちの多くが、「これ、おいしい!」と気に入ってくださったのが堂島ロール。こうして注文が入るようになりました。

春花 関西でも最も口が肥えてらっしゃる北新地の皆さんがお気に召してくださったおかげで、そのクラブのお客様にも広がっていきました。ある時期から急に、お店の前にベンツとかの高級車がどんどん止まり始めて、そこから降りてくる方々が堂島ロールを注文されるようになりました。

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