世界中で話題になっている画期的研究 20年後、人類は「不老不死」になる

 でも、この『神々と奴隷の世界』の根本的な難点は、『神々』はやがて創造性が枯渇し、奴隷たちがイノベーションを担うようになるということです。神々の世界では、長老たちが死なず、世代交代が行われない。神々は精神的に老化し、硬直化し、やがて何も生み出さなくなる。そのとき奴隷たちは喜んで神々をばらばらに切り刻むでしょう。

 いずれにせよ、不死や例外的な長生きが、普通に天寿を全うするよりも幸福ということはなさそうです」

 デグレイ博士の「老化と死はいわば病の一種であり、克服できる」という信念を、異端だという声も多い。確かに、一人ひとりの寿命を克服した先に待つのは、内田氏の予測するような、人類全体の死ともいえる悲惨な状況なのかもしれない。だが、デグレイ博士は私たちの固定観念にくり返し疑問を投げかける。

「なぜか私たちは、老化のこととなると運命に身を任せがちです。この考え方がいかに馬鹿げているか。病気を悪だと捉える人は多いですが、悪いという点では老化も同様です。しかも、老化は病気よりもはるかに多くの人命を奪っている。

 私が考える方法は極めて合理的です。くだらない理由をつけて『老化はよいことだ』とする意見もありますが、誰にも避けがたい問題ならば、できる限りのことをするしかありません」

 ジュール・ヴェルヌは「人が想像できることは必ず人が実現できる」と述べた。われわれが、不老不死の実現に身をもって立ち会う日が来るのかもしれない。

「週刊現代」2012年9月22・29日号より