週現スペシャル 新・没落貴族 全財産失った元富豪たちの告白 最新版「おカネの哲学」------人生は何が起きるか分からない 連続インタビュー

週刊現代 プロフィール

 金持ちになりたいと思うこと自体は、けっして悪いことではない。ただし、金が金を生む投資ゲームに翻弄されると、最後はお定まりの転落が待っている。

 磯貝氏の絶頂期は、2年ほどでピリオドを打つ。

「買いポジションで持っていたのは1億ポンド(当時のレートで約250億円)。為替が1円動くと1億円上下する。下がれば資産を失うのもあっという間で、'08年には3000万円まで激減しました。資産10億円の時点でやめていれば、税金を払っても5億円以上残っていたわけですが、止めようという気はなかった。欲は無限大ですね。

 ちょうどその頃、国税が入り、所得税法違反で刑事告訴されたんです。税金が1億6000万円、重加算税が6500万円。それに14・6%の延滞利息と罰金3500万円で、総額約3億円。罰金だけは払わないと刑務所行きになるから、残り少ない資産から、なんとか払い終えました」

 当然、ヒルズの自宅は引き払い、鳩ヶ谷の実家に戻らざるをえなかった。現在は家業のスクラップ業に精を出す毎日だ。真っ黒に焼けた肌に白のタンクトップを着た、その精悍な姿からは、かつての「ヒルズ族」の面影は感じられない。

「税金は現時点で、2億円ちょっと残っています。今はできる仕事はなんでもして、月に100万円ずつ返しています。正直しんどいですが、計算ではあと20年。55歳で完済予定です。この目標があるから頑張っていられますが、完済したらホッとして死ぬんじゃないかと思っているんですよ」

「兜町の風雲児」と呼ばれて

 最後に異質の元大金持ちを紹介しよう。投資ジャーナル事件で巨額の金を騙し取ったとして、'85年に逮捕された中江滋樹氏(58歳)だ。投資事業で莫大な富を手にした中江氏は、人気絶頂だったアイドルの倉田まり子さんとの交際が報じられるなど、派手で華やかな日々を謳歌していた。

「全盛期は29~30歳頃。当時は体をブルッと揺すれば10億円くらいは簡単に出てきました。銀座の飲み代は一晩数百万円。愛人も10人くらいいましたし、六本木や赤坂に複数のクラブ、割烹、喫茶店を持っていた。何人もの政治家とも付き合いがあって、500万、1000万円単位で小遣いをやっていました。ただ、内心はビビリながら生きていたんですよ。証券取引法からいうと私のやっていることは灰色だな、と思っていましたから」

「兜町の風雲児」の名をほしいままにしていた中江氏だが、本人の予感どおり、転落が待っていた。

「'84年8月に強制捜査が入ってから、各地を転々としていました。逮捕は熱海のホテルにいたときです。ちょうど豊田商事の永野一男会長が刺殺される事件が前日にあり、警察批判が高まっていたのでいいタイミングだったのでしょう。逮捕前に10億円以上あった個人資産も、どさくさで知り合いに持っていかれたりして、'92年に出所したときは2億~3億円しかなくなっていました」

 出所後は投資関連の事務所を再開したが、そこでまた窮地に陥る。