週現スペシャル 新・没落貴族 全財産失った元富豪たちの告白 最新版「おカネの哲学」------人生は何が起きるか分からない 連続インタビュー

週刊現代 プロフィール

 身から出たサビとはいえ、〝独裁者〟の末路は哀れだ。一身に社員の憎悪を浴び、腰巾着は離反し、誰一人寄りつかなくなり、財産をすべて失う。

 ダイエー創業者の中内功氏も、産業再生法申請後、ダイエーの株式をはじめ、東京・田園調布や兵庫・芦屋の豪邸など、資産のすべてを失った。メインバンクだった三井住友銀行頭取(当時)の西川善文氏が、すべてを取り上げるのは忍びないといってマンションの一室だけ残したというのは有名な話だ。

 ただし、カネを失ったら人生が終わりかというと、そうとも言えない。財産を失って初めて、心の平穏を得た人もいるからだ。

「自分の城を失うことで、守るものがなくなって幸せになったというケースは驚くほど多い。屋敷にしても会社にしても、城を持っていれば守らなくてはいけない。人材もお金もいっぱい必要です。それを失う不安というのは凄まじいもので、あの松下幸之助さんですら、倒産が心配で眠れない夜があったといいます。倒産すれば、結果としてそうした不安からも解放されるのです。実際、私のクライアントで倒産後、家族仲がよくなり、質素な食生活で健康になったと感謝している元経営者がたくさんいますよ」(前出・村松氏)

 それには倒産後に多額の税金の滞納が残っていないことが条件となる。都内で破綻企業を数多く見てきた、ある税理士がこう語る。

「『最後は会社も自分も破産すればいい』と甘い考えを抱いている名門企業のボンボンもいますが、笑ってしまいますね。税金は自己破産しても逃れられません。サラ金並みと言われる滞納金も支払わされる羽目になる。滞納金の年利は、14%以上です。おおざっぱにいうと、1000万円の税金を滞納したら年におよそ140万円の利息を取られるのですから、名門もひとたび没落したら、ほとんどが浮かび上がれません」

 埼玉・鳩ヶ谷でスクラップ業を営む磯貝清明氏(35歳)は、今も多額の滞納税を返済し続けている。磯貝氏は欲に突き動かされて、ついに「ヒルズ族」の一員にもなった元大金持ちだ。

「200万円を元手に'04年から始めたFXで主に英ポンドを買い、家業のスクラップ業のカネもどんどん注ぎ込んで、資産を膨らませていったんです。当時は誰でも儲かる右肩上がりの相場。口座の総残高は10億円を超え、『日本で一番ポンドを持つ男』とまで噂されるようになりました」

 ヒルズに住むようになったのもその頃だ。

「最初は300万円ほど出してヒルズの会員制レストラン『ヒルズクラブ』の会員になりました。その後、住まいもヒルズの家賃80万円の部屋に移したのですが、住んでみるとホテルみたいでしたね。週2回掃除をしてくれて、シーツも交換してくれた。ジムに行くと、当時、ヒルズ族の象徴だったホリエモン(元ライブドア社長・堀江貴文氏)がいて、『こいつ、カネは持っているけど太っているな。カネは負けるけど、俺のほうがイケてるぜ』と思ったりもしましたね(笑)。ヒルズクラブで仲間を連れてよく食事もしました。多いときには、そこだけで年間2000万円ぐらいは使っていました」