2012.10.08(Mon) 万年野党事務局

魚を食べよう日本の魚食文化を守れ!
水産庁「魚の国のしあわせ」プロジェクト
官民協働で消費拡大へ

筆者プロフィール&コラム概要

 水産関係者が特に衝撃を受けたのは、1人1日当たりの摂取量が06年に80・2グラムになった時に、肉類(80・4グラム)に初めて抜かれたことだ。肉類は若干の上下変動があるものの10年は82・5グラムと魚介類との差をじわじわと広げている。魚は古くからの日本食文化の中心だっただけに「この逆転は日本列島の民族として縄文時代以来初めてではないか」(水産庁幹部)とまで言わしめた。

 この極端な落ち込みの直接の要因は分かっていない。肉類の場合は過去に、BSE(牛海綿状脳症)や、人間の新型インフルエンザにつながる鳥インフルエンザの世界的な発症など消費量の変動に直結する事件が起きてきたが、魚に関しては全国的に問題になる事件はなかった。

 実際、魚の摂取量が最も多かった01年は、日本でBSEが問題になり、牛肉への警戒感が高まった年だった。消費量を押し下げる明確な要因が見当たらない中での魚介類の摂取量の減少だけに、いっそう深刻に受け止められている。

 水産庁が注目している現象の一つに、年齢階層別の摂取量の変化がある。厚生労働省の「国民栄養・健康調査」(10年)などをもとにした調査によると、摂取量が全体の平均では魚介類より肉類が多くなっていることは変わらないが、問題は男女を問わずすべての年齢層で以前よりも魚介類を食べる量が少なくっていることだ。

 印象を裏付けるように、7~14歳の子どもたちや15~19歳の食べ盛りの年齢層は男女とも肉類を多く好んでいる。ところが、中年といわれる40~49歳の男性が顕著な肉類への移行を示しているのだ。

 以前から「年をとれば魚を好むようになる」ともいわれてきたが、60~69歳、70歳以上の高齢者層も肉類への移行傾向があることが分かった。いわゆる魚食の〝加齢効果〟という俗説が覆ってしまった格好だ。

 高齢化社会が進み生活習慣病への関心が高まる中で、魚類には良質な動物性たんぱく質や、DHA(ドコサヘキサエン酸)などの脂肪酸をはじめ健康に良いとされる機能性成分が多く含まれていることが分かってきている。農林水産省が今年1~2月に行った消費者への意識調査でも、水産物の優れている点として「水産物の方が肉類よりも健康に良い」ことを挙げた人が64・7%おり、魚食の健康メリットを意識する人が多いことがはっきりした。また「水産物を食べることで旬や季節感を感じることができる」と答えた人が53・6%おり、日本の食文化に魚が欠かせないことに変わりはない。

 このように日本人の魚食に対する好意的な意識は変わっていないのに、なぜすべての年齢層にわたって、魚離れが顕著になってきたのか。複合的な要因が絡んでいるとみられる。

魚食量を10年並みに維持する

 水産庁は今年3月、5年ぶりに新たな「水産基本計画」を策定した。昨年3月の東日本大震災で甚大な被害を受けた東北地方太平洋沿岸を中心とした地域の漁業復興や、11年度から始まった資源管理・漁業所得補償対策などを中核施策として取り上げている。同時に低迷する魚介類の消費量の拡大策の必要性を強調し、異例の数値目標を盛り込んだ。

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