実際に検査が受けられる 病院リスト付き

 「血の一滴」で病気はここまで分かる
週刊現代 プロフィール

「隠れ脳梗塞を放っておくと、5年以内に約30%の人に、命の危険にも及ぶ大きな脳梗塞が起こると報告されている怖い病気です。それが、千葉大学発の医療ベンチャー、アミンファーマ研究所が開発した血液検査を行うと、85%の精度でリスクが分かる。従来はMRIを撮らないとわからなかったので、有用な検査だと思います」(現役医師で医療ジャーナリストの森田豊氏)

 費用は1回7000~1万円程度。必要な血液量は、がんの場合と同じ5cc。まだ臨床応用が開始されたばかりだが、全国にある150ヵ所以上の施設で受けられる。

患者の「嘘」も見抜く

 血液検査の可能性は、身体だけでなく〝精神疾患〟の診断にまで広がっている。その一つがうつ病だ。

 従来うつ病は、問診で診断するしかなかった。誤診され、必要のない薬を飲み続けている患者もいれば、医者の前で嘘をつき、〝自称うつ〟でも診断書をもらうことができた。そうした状況が、外苑メンタルクリニック院長の川村則行医師と、慶応大学発のベンチャー企業、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズによる研究で変化してきている。

 同研究によると、うつ病患者は健康な人と比べ、血漿中のエタノールアミンリン酸(EAP)という物質の濃度が低いことが分かったのだ。

「血液検査だけで8~9割程度は診断がつくようになってきました。他の病院でうつ病と言われた方が血液検査をしたら、うつ病ではないことが判明し、治療法を変更して症状が改善したケースはたくさんあります。また、病気が軽快するとEAPの濃度が上昇するので、治療の終結点もわかるようになるというメリットもあります」(川村医師)

 血液検査だけではなく、問診などのテストと併用して総合的に診断することが必要だが、血液中にあるこの物質の濃度は客観的な数値として表れるため、医者のスキルに左右されがちなうつ病診断においては非常に有用な診断支援情報となる。まだ研究途上のため、受けられるのは外苑メンタルクリニックのみだが、ここで診察を受けた患者は、希望すれば無料で検査をしてくれる(通常の診察料3000~6000円程度は別途必要)。

 さらに研究が進めば、診断の難しい躁うつ病や、統合失調症など、他の精神疾患の診断にも応用できるようになるかもしれない。

 うつ病と同様、近年患者が急増している認知症。今年に入ってから患者数は300万人を超えた。認知症の中でも半数以上を占めるアルツハイマーの血液検査についても、研究が進められている。

 アルツハイマーを正確に診断するためには、がんと同様、PET検査など大掛かりな検査が必要だが、オーストラリアの国立研究機関CSIROの研究チームの発表によれば、血液で同病の「早期発見」も可能だという。