実際に検査が受けられる 病院リスト付き

 「血の一滴」で病気はここまで分かる
週刊現代 プロフィール

 採血はほんの5分で終わり、2週間後の結果を待つのみ。保険は利かず、費用は医療機関によって多少異なるが、1万9000円前後だ。全国にある約130の医療機関が導入している。

 ちなみに、がんの血液検査というと、血液中の腫瘍マーカーを測定する方法がすでに普及しているが、これは主にがん細胞が作るたんぱく質を測定するため、ある程度進行しないと検出できない。また、検査項目が増えると採血量が増えるというデメリットもある。

 それと比べても、一度の採血だけで6種類のがんのリスクが同時に分かり、早期発見にもつながるというのはありがたい。さらなる可能性も秘めているという。

「アミノインデックス技術を用いて、その他のがん、見た目ではわからない『隠れ肥満』、非アルコール性脂肪性肝炎、高血圧などさまざまな病気が予測できるようになってきています。身体に少しでも異常が起こると、血液に現れる。私は『血液は嘘をつかない』というのを信条に、研究を続けています」(同前)

 ただ、AICSはまだ研究段階のため、この血液検査だけを受けていれば大丈夫というわけではない。リスクが高いという結果が出たら精密検査を受けたほうがいいのは言うまでもない。

 血液で超早期がんを発見する---そのために、さらなる精度の向上を目指して研究を進める医師がいる。神戸大学大学院医学研究科准教授の吉田優医師だ。AICSは血液中の20種のアミノ酸を調べるのに対し、アミノ酸だけでなく糖や有機酸、脂肪酸など血液中に存在する約100種類以上の代謝物を網羅的に分析することで、より感度よくがんの有無を判別する方法を研究している。

手遅れになる前に

「大腸がんについては、ステージ0からステージⅡの早期であっても、80%以上の精度で判別できました。従来の腫瘍マーカーの診断確率が同じ条件で30%程度であることを考えると、非常に高い感度です。大腸がんは、ステージ0~Ⅰで治療できれば5年生存率は100%、ステージⅡでも80%ですから、なんとかその段階までに診断したい、と思い続けているんです」

 消化器内科医として患者を診断し、手遅れの状態で発見されるケースを数多く診てきたという吉田医師。

「大腸がんだけではなく、すい臓や胃、食道などの他の種類のがんの総合的な診断システムを5年以内に実現したいと思っています」

 このように、「血の一滴」に含まれる情報量は、想像を超えるほど膨大だ。血液の中には、脳梗塞のリスクを示唆する情報も含まれている。脳梗塞患者の血液中に増えるといわれているアクロレインという有害物質などの濃度を調べると、「隠れ脳梗塞」があるか否かを知ることもできる。

 隠れ脳梗塞とは、脳の血管が詰まっている部分があってもまったく症状がない状態(無症候性脳梗塞)か、軽い脳梗塞の症状が出ても1日以内に治まるもの(一過性脳虚血発作)のことを指す。