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瀬尾「現代ビジネス」編集長 (対談場所に現れて)こんにちは。さっきまで隣の部屋にいたんですが、「今日はやけに笑い声が多いな」ってみんな言ってましたよ。いつもこの会議室は、割と深刻な話が多いんですよ。
米田 じゃあ、この対談は現代ビジネスの中でも異色なんですね。
pha そうですかぁ。別にそんな変なこと言ってるつもりはないんですが・・・・・・。いろいろ真面目な議論とかするのが面倒くさいなぁ、って思ってるだけなんですけどね。
一同 (笑)。
瀬尾 phaさんは、単純に同じステージに上がって論争したりするのは面倒くさいというところがあるんですか。
pha うーん、そうですねぇ・・・・・・。
米田 phaさんって熱くなったりしないんですか? カーッとなるとか。
pha いや、たまになりますよ。
米田 怒ったりとかは?
pha よくわからない失礼なメールが来た時とか・・・・・・。
一同 (笑)。
pha でも、あんまり表に出さないようにしてますけどね。
米田 それも何か京都人な感じがしますね。
pha まあ、臆病なだけなんですけど。逆に、Twitterでフォロワーが10万人くらいいる有名人なのに、ネットでストレートに激しい感情を出しているような人を見ると、ちょっとうらやましく思います。
カッとなってバーッと強い言葉を言っちゃうと、その分、土台がふらつくというか、防御力が下がって足をすくわれやすくなるとか、そういうことをまず考えちゃうんですよね。
米田 それもphaさん独特のネットリテラシーの高さなんじゃないかなぁ。
瀬尾 それと、さっきも米田さんがおっしゃたようですが、ネット上の論争って、ある種のプロレス的な世界がありますよね。今繰り広げられているノマド論争を見ても、「何か知らないけど腹が立つ」と嫉妬に燃えている人もいれば、一方で、とにかく叩くことによって自分の立ち位置を確保するみたいな人がいるとか、そういう議論が多いように思うんですよ。
米田 そうそう。僕はカッとなって反論してしまうこともあるんですが(苦笑)、でも、phaさんはそういう論争には乗りませんよね。
pha そうですね。そんなことをやっても不毛だって感じがしちゃいますね。単に相手を攻撃するだけじゃなくて、何かちょっと生産的なものがないとつまんないな、って思います。
僕について批判的な記事があったとしても、相手の言ってることにただ反論するだけなら、相手に大して興味があるわけではないから、なんでそこまでしてやらなきゃいけないんだって思うし。クラウドファンディングに関して僕への批判が出たときみたいに、相手に対する反論だけじゃなくて、第三者に向けて何か伝えたいことがあるのならばブログに書いたりもしますけど・・・・・・。単に他人に興味がないだけなのかもしれません。
米田 ノマドに関して、僕も批判されることがあるんですが、ノマド論争って、俯瞰して見ると、現象としてはなかなか面白いなとは思っているんです。だから、ノマド批判を批判する気もあまり起きなくて。
ただ、あまりに個人の実存とかけ離れてメディアで取り上げられたり、ネットで有名になったりしてしまうと、やっぱり叩かれるのが世の常です。「それでも有名になりたい、成功したい」っていう人もいて、そのためには叩かれてもへこたれない、何がなんでも勝ち残っていくっていう、ものすごいパワーが必要ですよね。ただ、僕はノマドということを使ってそこまでやりたいとは思わないし、とても自分には無理です。
でも、論争を引き起こしちゃう人、常にプロレスを巻き起こす人って、「うっかり発言」も含めて、何か魅力があるんだろうし、世の中にはそういう人への需要があるんだろうなとは思うんです。phaさんはそれとは真逆の存在というか、孤高ですよ(笑)。
pha そうですね。あんまり不必要に表に出て目立っても、変な人に絡まれたりするだけで面倒臭いですしね。
米田 だけど今回、『ニートの歩き方』という本を書かれたわけじゃないですか。
pha そうなんですよねえ。いやー、こんなので有名になったりしたら、またいろいろ面倒くさそうだし、どうしましょうかね・・・・・・杞憂だと思うんですが。
米田 売れまくるかもしれないですよ(笑)。ところで、ネットを中心に発信されていたphaさんが紙の本を書かれようと思ったきっかけは? どこかで決心したんですか?
pha 出版社から「書きませんか?」って言われたのがきっかけなんですけど、今までブログにいろいろ書いたり、いろんなところで喋ったりした内容をまとめておきたかったんですよね。まとめサイト的に。
ニートについて、いい加減5年くらい書いたり喋ったりしてて、さすがに何回も同じようなことを話すのに飽きたので、どっかにまとめておいて一段落つけたいという感じで。仕事を辞めてからの5年間の総決算というか、棚卸しのような位置づけです。本って出版したことないから、いっぺんやってみるのも面白いかというのもありましたし。
米田 本のタイトルになっている「ニートの歩き方」という言葉に込めた意味は何ですか?
pha 「地球の歩き方」みたいなガイドブック的な、ニートという世界をどうやって歩いていくかというのと、ニートがどうやって人生を歩いているかというニュアンスを伝えたいと思いました。
実際に使えるマニュアル的な内容も書いてあるけど、全面的にマニュアル的な内容ではないんです。僕自身が、ニートとして生活していく上で必要だと思った知識やノウハウや思想を全て詰め込んだ、という感じです。
米田 でも外部からは確実に、いろんなことをやられてるなぁっていう風に見えますけどね。新しくギークハウスのカフェ「ギークカフェ」もできたんですよね?
pha あぁ・・・・・・そういえば。
米田 ガタッて力が抜ける感じです(笑)。
pha ギークハウス水道橋の1階にできたんですが、僕はそんなにメインで運営に関わっているわけではないんです。イベントのお手伝いとかするくらい。基本的に面倒くさがりなので、自分であまり動きたくないんですよ。
だからギークハウスプロジェクトというものも、僕がコンセプトという入れ物を作ったけど、いろんな人がその入れ物のなかで勝手にいろいろ動いてくれればいいなという感じです。実際に何かやるのはだるいので、他人に任せたいんです。自分でやるのがだるいから、他人が動いてくれる仕組みを作ろうという発想ですね。
だから、ギークハウス関係のことでも僕は実際にそんなに仕事をしているわけでもないし、最近は本を書いたりしててちょっと忙しかったけど、あとはブログ書いたり、漫画読んだり、家の掃除してるくらいで、基本的には暇な生活ですよ。一日の大半を布団に寝転んで、「だるいだるい」って唸りながら過ごしてます。