大反響の「日本の大金持ち研究」遺産相続・詐欺・恐喝・骨肉の争い なってみないと分からない連続インタビュー大金持ちはこんなことで悩んでいる

週刊現代 プロフィール

「地主さんにとっては、先祖代々の土地を売るということは犯罪に等しいという感覚なんです。開発業者などに土地を売ったら、周囲から『何をやっているんだ』と白い目で見られる。地主さんは世間体をすごく気にする方だったので、土地はすべて長男に相続させたいと考え、長男の奥さんも相続人にしたわけです。それで相続人が2人から3人に増え、その分、長女の法定相続分が減ったわけですから、長女は不満を持ちます。それでも長女には遺産の3分の1の6億から7億円を相続する権利がある。最終的に土地を売らないで長女の相続分を捻出するために、長男は相当ご苦労なさっていました。相続税のほうは、農家をやられているので、納税猶予の特例を使って先延ばししています」(前出・福留氏)

 この相続には後日談がある。長男夫婦が相続後に離婚したのだ。長男が別れた妻から土地を買い戻すことになり、また多額の資金が必要になったという。

 相続は家族間の争いにつながることが多く、「争族」と言われることもある。この場合も、なまじ広大な土地を相続したがために、兄妹間の仲がこじれ、夫婦関係の破綻につながった。先祖代々の土地を引き継ぐというのは並大抵のことではないのだ。

暴力団に脅された

 都心の高級不動産の仲介業を行う表参道不動産社長の加瀬恵子氏は、大金持ちの悩みは結局、お金と家族関係に行き着くと言う。

「お金持ちの家は、家族や親族がお金で結びついているという特徴がある。家族や親族関係に大きな額のお金が絡むと、これといった資産のない家より、人間関係がずっと難しくなりがちなものなのです」

 とくに難しいのは、家業の継承だ。普通、長男が家督を相続し、事業も継ぐがそう簡単に事は運ばない。

「親子関係で多いのは、父親と長男がうまくいかないケースです。父親にしてみれば、いくら財産をつくっても、跡継ぎがうまく育たなければ、次の世代にはつながらない。だから長男にはしっかりした跡継ぎとして育ってほしいのですが、お金があるために、結局、長男は放蕩してしまう。創業者の息子が、身を立てた父親に対する劣等感を抱いて親子関係をこじらせてしまい、両者が疎遠になっていくというケースが見られます。人間はお金だけでは生きていけないんです」(前出・加瀬氏)

 相続や家族関係以外にも、金持ちにつきまとう悩みがある。冒頭で紹介したように、潤沢な資産を目当てに砂糖にたかるアリのような手合いが群がってくる。

「付き合いのあった不動産会社の役員から、投資話をもちかけられたんです。興味を覚えて話を聞きに行ったら、出てきたのが暴力団の親分。周囲もみんなその筋の人間ばかりで、異様な雰囲気でした」

 中川電化産業会長の河中宏氏は実体験をこう振り返る。同社は三重県に本社を置く家電スイッチメーカー。洗濯機や冷蔵庫のプログラムタイマーの小型化を成功させた河中氏は、白物家電で培った技術を応用して車の電装部品を開発し、地方の中小メーカーだった同社を国内外20ヵ所に拠点を置く大企業に成長させた。