著名人10人が薦める「私の人生を変えた、この1冊」

フライデー プロフィール

「葉隠」田代陣基 筆録

三木谷浩史(会社経営者)
1965年、兵庫県生まれ。米ハーバード大学経営大学院修了。楽天株式会社会長兼社長、東北楽天ゴールデンイーグルス球団オーナー。'97年に楽天を創業し、'00年代の日本のITベンチャー業界の雄に

「ビジネス上で大きな判断をする時や迷った時にこそ、歴史書や経済書に裏打ちされている知識が重要になると私は考えます。楽天のビジネスモデルも、その裏にあるフレームワークには様々な読書の影響があるんです」

 そう語るのは、わが国のIT企業の雄『楽天』の会長兼社長を務める三木谷浩史氏(47)だ。'97年にネットショッピングサイト「楽天市場」を創設して以来、ネット証券やプロ野球など多分野への進出に成功。今年7月には日本向け電子書籍リーダー「kobo Touch」の販売を発表し、世間の話題をさらったのは記憶に新しいところだ。

「僕の推薦の書は、和書では『葉隠』(講談社刊)です。『武士道とは死ぬことと見つけたり』の言葉で有名な1冊ですね。生きていくには、周囲の人間からいろいろ言われても、前に進んでいくことが重要。そんな姿勢を学んだ本だと思います。ビジネス本ではアメリカの経営学者、ジム・コリンズが著した『Good to Great』(ハーパー・ビジネス刊、邦題『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』)。表面的なトレンドを追いかけるのではなく、企業を本当に強くするとはどういうことか。その本質を学びましたね。いずれも、後の企業経営に大きく寄与した本だと思っています」

葉隠
田代陣基 筆録

 ハードなビジネスシーンでは〝生きた教養〟こそが武器となる、と彼は語る。

「昨今の日本の、読書量が減っている現状はちょっとまずいですね。国土が狭く資源も少ない日本は、国民の高いインテリジェンスとハードワーキングで支えていくしかない。1人あたりの脳内の知識量が減ることは、インテリジェンス・レベルの低下を意味します。読書量を増やしてより多くの知識を身につけることと、英語の習得。これらが、現在の日本人に最も必要とされているんです」

 電車の中で携帯のゲームで遊ぶより、読書をするべき---。電子書籍リーダー「kobo」の販売に踏み切ったのも、そんな思いからであるという。

「私の場合、koboで最初にハマったのは漫画の『神の雫』(講談社刊)。『アマゾン』を利用するよりも待たなくていいから、読みたい時にすぐ読めるんです。読書量は確実に増えていますよ」

 社内の誰よりも三木谷氏こそ、インテリジェンスの向上に余念がないようだ。

〔PHOTO〕 會田 園 菊池 修 郡山総一郎 高塚一郎 繁昌良司 本多治季

「フライデー」2012年9月7日号より