[アイランドリーグ]
高知・定岡智秋監督「小久保の努力に見習うこと」

スポーツコミュニケーションズ

屋宜は強肩でもっとアピールを

 投手ばかりを取り上げましたが、野手では捕手の屋宜宣一郎がドラフト候補です。彼は春の阪神2軍との交流試合で盗塁を2つ刺し、いいところを見せました。以降、NPBのスカウトも時々、彼をチェックしてくれるようになっています。しかし、このリーグだけでも星野雄大(香川)、山城一樹(徳島)と打力も備えた捕手がいます。指名を勝ち取るには、もうひと押しもふた押しも必要です。

 屋宜にとって武器になるのは、何といっても強肩。先日、スカウトが視察にきた試合では、俊足のランナーがいる場面にも関わらず、変化球ばかりを要求して簡単に走られてしまいました。これでは自慢の肩を披露する機会がありません。

 自分をPRするには、少々、ストレート系に偏った配球でもランナーと勝負する状況を演出することも求められるでしょう。本人にも試合後、話をしましたが、NPBに行くには、そういったしたたかな“就活”も大事なのです。

 ドラフト会議までは、あと2カ月。高校野球も終われば、各球団は指名リストの絞り込み作業に入っていきます。そこでリストに入るかどうかは、ここからの最終アピール次第。選手たちには春から取り組んできた成果を、充分に発揮してほしいですね。この先は自らの野球人生を左右する2カ月――アイランドリーグの選手たちには、このことを強く自覚して日々の練習、試合に臨んでほしいと感じています。

 最後に、ホークスのコーチ時代の教え子である小久保裕紀が引退を表明しました。彼は決して器用な選手ではありません。ただ、人一倍の努力で一流選手になりました。5年目の98年にセカンドからサードへのコンバートを提案したのは、実は僕のアイデア。「小久保は肩が弱いからサードで大丈夫か」という不安の声を払拭すべく、高知キャンプで連日のように特守をしたのは良き思い出です。

 打撃でも毎日、寮でマシンのボールを打ってから球場入りするなど、本当に人に見えないところで、よく頑張っていました。あれほどの練習に耐えられる体力、精神力は素晴らしいの一語です。こういった姿はぜひ今のホークスの若手も見習ってほしいですし、NPBを目指す高知の選手たちにも伝えていきたいと思っています。個人的には「まだやれる」と感じますが、進退は本人が決めたこと。小久保には今度会ったら「ご苦労さま」と声をかけたいです。

<定岡智秋 (さだおか・ちあき)プロフィール>: 高知ファイティングドッグス監督
1953年6月17日、鹿児島県出身。定岡三兄弟(次男・正二=元巨人、三男・徹久=元広島)の長男として、鹿児島実業から72年、ドラフト3位で南海 (現ソフトバンク)に入団。強肩の遊撃手として河埜敬幸と二遊間コンビを形成した。オールスターにも3回出場し、87年限りで現役を引退。その後、ホーク ス一筋でスカウトや守備走塁コーチ、二軍監督などを歴任。小久保裕紀、松中信彦、川崎宗則などを指導し、現在の強いソフトバンクの礎づくりに貢献した。息 子の卓摩は東北楽天の内野手。08年より高知の監督に就任。現役時代の通算成績は1216試合、打率.232、88本塁打、370打点。