ボーナスは後払いより先払いのほうが効果が出る

 米国・シカゴ大学の経済学教授John List博士らがthe National Bureau of Economics Research 2012年7月号に発表した研究で、教師に生徒の成績を向上させるインセンティブとして報酬を与える際は、成果が上がらなかった場合に、返還させる条件で先払いするのが効果的であることが明らかになりました。

 博士らはイリノイ州シカゴ市近郊の町で実験を行いました。対象となった地域には3.200人の小中学生がおり、学力は州の平均を下回っており、また上記の生徒の98%が給食費補助を受けている階層に属していました。

 地域の教員組合の協力を得て、対象教師160人のうち150人が、この教師に対するインセンティブ効果の実験に参加しました。

 Aグループの教師は、学年当初に4.000ドルの報酬を先払いされ、学年末までに生徒の成績が向上すればするほど、すなわち目標達成率が高いほど返還金額が少なくなるという条件でした。

 Bグループは、年度末までに生徒の成績が向上していれば年度末に達成報酬として4.000ドルが支払われる条件でした。報酬の基準は生徒の数学の成績が地域の平均よりも1%上回るごとに80ドルとされ、最大8.000ドルを受け取ることも可能であり、この金額は教師の平均年収の16%に当たる金額でした。

 実験の結果、報酬を前払いされたAグループ教師の生徒の成績が10%向上したのに対し、年度末に報酬が支払われる条件のBグループの教師の生徒は、成績が向上していませんでした。

 この結果について博士は、30年以上も前から経済学と心理学で知られている行動の動機付けにおける「損失回避」と呼ばれる作用が、教師に働いた結果であると考えられ、達成結果に対する事後報酬では、教師のインセンティブとして効果がないことが、明らかになったのではないかとしています。

医療ジャーナリスト 宇山恵子
the National Bureau of Economics Research 
Working Paper No. 18237
Issued in July 2012