ロンドン五輪「感動秘話」 金メダル・内村航平「ここが勝負の分かれ目だった」

松本薫(柔道金メダル)、三宅宏実(重量挙げ銀メダル)、寺川綾(水泳銅メダル)ほか
週刊現代 プロフィール

早川漣(アーチェリー 銅メダル)
メダルをもたらした姉からのメール

 ロシアとのアーチェリー女子団体3位決定戦、小雨の降る中で迎えた最後の射撃。日本のエース、早川漣(24歳)の放った矢は的のど真ん中に命中し、土壇場で逆転に成功する。いつもより、矢を放つまでの時間を長く取った。

〈頑張れ。普段通り。日本から応援しているよ〉

 早川の頭には、前日に姉の浪さんがくれたメールの文面が浮かんでいた。それは、1回戦を突破した直後に送った、SOSメールへの返信だった。

〈うまく打てないから助けて〉

 妹の弱音を聞くと、「少し安心する」ものらしい。浪さんが本誌の取材に明かす。

「昔から、私には素直で、よく甘えてくる子。だから、私も一緒に出られると良かったんですけど」

 浪さんは'08年の北京五輪で個人6位入賞。日本代表のエースだった。早川姉妹は、アーチェリー王国の韓国で生まれ育った。

「言葉も通じない、友だちもいない。行きたくない」

 と渋る妹を'07年に日本に呼び寄せたのも姉だ。当時、早川は韓国の実業団チームを解雇され、競技から離れていた。日本に移り住んでいた母を追い、'04年から日体大でアーチェリーをしていた姉は、

「一緒に五輪に行こう」

 と失意の妹に語りかけた。'09年に漣が日本国籍を取得してからは、これが姉妹の合い言葉になった。

 妹が銅メダルを獲った直後、浪さんは「おめでとう」と一言だけメールを送った。

「返事が来たのは夜でした。一言、『お姉ちゃん、ありがとう』って。『お姉ちゃん』って呼びかけが、少しくすぐったい感じがして嬉しかったです」

「次こそは一緒に」—5年前、国境を超えて交わした姉妹の誓いは、4年後に表彰台の最上段で完結する。

三宅宏実(重量挙げ 銀メダル)
本番前日に見せた母譲りの気遣い

「83kgと108kgから始めよう」