米国発の「市場主義経済学」では、いまの危機は解決できない!
『経済学の犯罪』著者・佐伯啓思インタビュー

── ムダな公共事業の象徴として箱物公共投資などはどうでしょう?

佐伯 結局いままでは、どんな社会にしたいのかというイメージがなかったから公共事業でも「何のため」ということが見えなかったのでしょう。たとえば防災関係の公共事業なども、ムダといえばムダかもしれない。でもそれはやはりつくらなければいけない。これからは1000年に一度の大津波のために防災施設をつくるのかどうか、そうしたことをきちんと議論して説明していく必要がある。

 たとえば建設事業などでも、いまは橋や線路の老朽化が進み更新期にあたっている。これらを取り替える必要があるのは自明のことです。

 もちろんシステムづくりなどは必ずしも政府が全部つくる必要はない。それこそ官民協働で、やればいい。たとえばそうしたシステムづくりに参画する企業には、税制上の優遇措置を与えるなどといったことも出てくるでしょう。

── そうなると経済学の話でも出てきたように、まずどのような「価値」が大切なのか、それをはっきりさせることこそが大切ですね。

佐伯 そうですね、それが思想を持つということです。ですから今回の本に書かれていることも結局、私なりの思想ということなのです。

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