アップル対サムスンの裁判で改めて考える陪審員制の是非

サムスンのGalaxy SⅡ〔PHOTO〕gettyimages

 スマートフォンやタブレット関連の特許や意匠を巡る、米アップルと韓国サムスンの裁判が先週、米カリフォルニア州の連邦地裁で始まった。両社は他にも、東京、韓国ソウル、さらにドイツ、イギリス、スペイン、イタリアの諸都市など世界中で同様の係争を抱えており、その総数は50以上にも達する。

 アップルはサムスン以外に、台湾HTCとも同様の裁判を争っている。サムスンもHTCも自社製端末に、グーグルのモバイルOS「アンドロイド」を採用している。このため今回の特許紛争は、「アップル対グーグル」の代理戦争とも見られている。

 一説によれば、現在のスマートフォンには2万5000個以上の特許技術が使われているという。一連の裁判の結果次第では、アップルとこれらアジア・メーカーとの間で、総額数十億ドル(数千億円)にも及ぶ損害賠償や特許料の支払いなどが発生すると見られ、そのツケはいずれ製品価格に転嫁されて、最後には消費者に回ってくることになる。

ピンチ、ズーム、音声操作や3G通信技術などが争点に

 先週、米カリフォルニア州で始まった裁判で、アップルは「サムスンが(アップルの)アイフォーンやアイパッドのデザインを模倣し、そのUI(ユーザー・インタフェース)関連の特許を侵害した」と主張。これに対しサムスンはアップルのそうした訴えを否定すると同時に、「アイフォーンやアイパッドなどアップル製品は、サムスンが持つ通信関連の特許を侵害している」と逆に訴えた。

 もう少し具体的に、どのような特許技術が争われているのだろうか? まずアップル側が主張している特許が、いわゆる「マルチタッチUI」である。これはタッチパネルに二本指を当てて、それを開いたり、狭めたりして表示オブジェクトを拡大・縮小するなど、いわゆる「ピンチ、ズーム」と呼ばれる操作だ。

 要するに私たちが普段、スマートフォンやタブレットを使うときに、当たり前のようにやっている行為が、実はアップルが米特許庁(U.S. Patent office)から取得した特許となっている。さらにアップルは、「Siri」のような音声操作に関して取得した特許をサムスンが侵害していると主張している。他にもアップルが今回、訴状に挙げた特許は幾つかあるが、そのほとんどがUI関連の特許だ。

 アップルが今回の訴えのもう一つの柱としているのは、アイフォーンやアイパッドのデザイン(意匠)である。いずれも要するに四角いパネルであって、筆者のような素人からみれば、そんなもので特許が取れるのかとも思ってしまうが、実はとれる。アップルはアイフォーンやアイパッドの詳細な図面を米特許庁に提出し、これによって特許を取得している。この種の特許は、専門用語で「ornamental design(装飾的意匠)」と呼ばれる。

 一方、サムスン側が主張する特許は、いわゆる「3G(第3世代)」と呼ばれる無線通信技術に関するもの、あるいはスマートフォン等に搭載されているMP3音楽ファイルの再生技術など、主にハードウエア関連の特許である。

 以上のように、両社がこれから争おうとしている特許はいずれも現在のスマートフォンの根幹をなす技術であり、裁判の成り行き次第では、冒頭に記したような巨額のお金が両社の間を動くことになる。

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